イヌ
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あなたは「太古の昔から人間と協力しながら一緒に暮らしている動物は?」と聞かれたら、何と答えますか? この質問の答えは…そう、私たちにとって非常に身近な動物である「イヌ」です。 イヌの姿は街を歩いている時はもちろん、テレビやSNSなどのメディアでもよく見かけますが、意外とその歴史や背景について詳しく知らないという人も多いのではないでしょうか。 この記事でイヌにはどんな特徴や秘密があるのか、一緒にその暮らしをのぞいていきましょう!
イヌ 基本情報
哺乳綱(ほにゅうこう)ネコ目(食肉目)-イヌ科
体長・体高・体重は犬種によって大幅に異なる。 イヌのサイズ区分に明確な定義はないが、「小型犬」は平均体重10Kg未満の犬種、「中型犬」は10Kg以上25Kg未満、「大型犬」は25Kg以上とされることが多い。
イヌは野生のオオカミを飼いならし、家畜化した動物のことを指します。イヌは用途に合わせて(狩猟を手伝う狩猟犬、家畜の管理を手伝う牧羊犬・牧畜犬など)長い時間をかけて改良され、世界のあらゆる場所で飼育されています。そのため一言でイヌといっても、体重が1~3Kgと非常に小さいチワワがいると思えば体重が50Kgを超える大型のセントバーナードがいるなど、犬種によって大きさ、性格、特徴が全く異なります。
イヌは種類によって異なりますが、小型犬では生後8~10カ月、大型犬では生後10~12カ月ほどで性成熟を迎え、繁殖ができるようになります。その後メスは1年に1~2回発情期を迎え、1回の出産で5~10頭(犬種によって異なる)の子犬を産みます。
イヌはペットとしてなじみが深い動物
イヌは何千年も前から、人間と一緒に生活してきた誰にとっても非常になじみが深い動物です。
イヌは少なくとも3万年前から人間と一緒に生活してきたと考えられていて、世界各国からイヌの化石が発見されています。時に人間と同じ墓からイヌの骨が見つかることもあるそうで、イヌははるか昔から人間にとって大切な存在であったものと考えられています。
日本においては、少なくとも縄文時代からイヌが飼育されていたものと考えられています。当時はシカやイノシシなどの狩猟を手伝う猟犬として飼育されることがほとんどでしたが、時には食用や儀式用に用いられることもあったようです。なお日本国内では2020年(令和2年)において、全国で848万9千頭ものイヌが飼育されています。
家で飼う時は何をあげたらいいの?
イヌの主食であるドッグフードには「総合栄養食」「間食」「療養食」といった、いくつかの種類が存在します。
健康なイヌに与える主食としては、「総合栄養食」と書かれたドッグフードを与えてください。総合栄養食はドッグフードと水だけでイヌが必要とする栄養が摂取できる、バランスが取れたフードのことを指します。
「間食」はしつけやごほうびに使うドッグフードで、栄養バランスが考えられたものではありません。あくまでおやつとして与えるものであり、主食として与えてはいけません。
「療養食」は病気の治療を行う際に、動物病院で処方される特定の栄養素の量が調整されたドッグフードです。与え方や与える量に決まりがあるため、療養食を与える際は必ず獣医師の指示に従ってください。
飼育する環境について
一昔前はイヌを家や財産を守る「番犬」として飼う人が多く、イヌは外で飼うことが一般的でした。しかし現在はイヌを番犬目的としてではなく、愛玩目的(あいがんもくてき・かわいがるため)で飼育する人が増え、室内で飼うことが一般的になっています。
基本的にイヌを飼う際は、室内で飼うことをおすすめします。なぜなら外で飼うと暑さや寒さの影響をはじめ、カやハエ、ノミやダニといった昆虫や寄生虫の影響を受けるなど、肉体的・精神的なストレスを受けやすくなるからです。ただし室内で飼育する時はイヌが危険なものを誤飲しないように部屋を片付け、電気コードなどの危険なものに触れないように気をつけてください。
もし何か事情があってイヌを屋外で飼育する場合は、雨風をしのげる頑丈な犬小屋を用意し、できる限り夏の暑さや冬の寒さをしのげる環境を作ってあげてください。
その他の注意点
日本には「狂犬病予防法」という法律があり、イヌを飼育している人はイヌに毎年1回狂犬病ワクチンの予防接種を行う義務があります。狂犬病はイヌ以外にも人間、ネコなどあらゆる動物に伝染する病気で、日本国内では1957年以降発生していないものの、それ以前は多くの人間やイヌを死に至らしめ、現在でも全世界を見渡せば年間5万人以上の人を死に至らしめている恐ろしい病気です。人間やイヌをはじめとしたあらゆる動物を狂犬病から守るため、完全室内飼いのイヌであっても、必ず狂犬病の予防接種を受けさせてください。
また繁殖を希望しない場合は、なるべく小さいうちに去勢・避妊手術をすることをおすすめします。なぜなら手術を行うことによって望まない妊娠を防げるうえに、年齢を重ねてから現れやすい生殖器の病気を防げるからです。去勢や避妊手術について興味がある方は、ぜひかかりつけの動物病院に相談してください。
イヌ Q&A
イヌの名前の由来は何?
ところで「イヌ」という名前には、どんな由来があるのでしょうか。
イヌの名前の由来には「鳴き声が名前の由来になった」、「「イヌ(寝ぬ)」が転じてイヌとなった」などいくつもの説があり、どれが正しい説であるのかはっきりわかっていないようです。
ちなみにイヌは英語で「Dog」と表現され、学名は「Canis lupus familiaris」と表現されます。
イヌはどうしてそこに住んでいるの?
イヌは日本だけでなく、世界中のあらゆる国で飼われています。イヌが飼われる目的は愛玩目的や狩猟目的などさまざまですが、どのイヌも人間の都合で住む場所が決められているといっても過言ではないでしょう。
なおイヌはオオカミを家畜化した動物ですが、今でもイヌという動物がどの地域で誕生したのか、イヌの祖先がどこに生息しているオオカミだったのかなど、その起源ははっきりとわかっていません。
しかし世界各国の気候や用途に合わせて体の大きさや色、骨格などを変化させたイヌたちは、今も昔も私たちの生活に欠かせない存在となっています。
イヌは何を食べているの?
イヌは肉食動物である、オオカミを家畜化した動物です。
オオカミは基本的にシカやヘラジカ、野生のヒツジやヤギなどの大型の草食動物を好んで食べます。しかし季節によってはウサギやビーバー、鳥やは虫類などの小型動物や、果実などの植物質を食べることもあります。
イヌも基本的には肉を好みますが、米や小麦、野菜や果物といった植物質も食べます。長い時間をかけて人間との暮らしに体を慣らしてきたイヌについては、肉食性が強い雑食性の動物と考えておくと良いでしょう。
イヌの祖先はオオカミって本当?
本当です。
これまで多くの研究者がイヌの祖先はどのイヌ科動物であるのか研究し、多くの論文を発表してきました。研究の中にはオオカミを祖先とする考えをはじめ、主に北アメリカに生息する小型のイヌ科動物・コヨーテの血が混じっているとするもの、オーストラリアに生息する野生のイヌ・ディンゴのような動物から進化したとするものなど、数多くの考えや意見があったそうです。
中には「イヌの祖先を特定することはできない」という考えもあったようですが、現在は精度の高い遺伝子分析ができるようになり、その結果どの種類のオオカミであるかは特定されていないものの、イヌの直接の祖先はオオカミだという説が通説になっています。
今私たちとともに暮らしているイヌたちの歴史は、2~4万年前のドイツもしくはシベリアからはじまったと考えられます。本来オオカミは慎重で用心深い性格であることから、そう簡単に人前に姿を現すことはありません。しかし中には警戒心が薄いオオカミもいて、そういった個体が人の住む場所に接近して生ごみや食べ残しを食べていたようです。そして人に近づいていった一部のオオカミが長い年月をかけて、イヌになっていったと考えられています。
オオカミと人間は、ともに社会性が高く群れで暮らす動物です。そしてオオカミは人間に近づくことで余った食べ物をもらえること、人間はオオカミとともに暮らすことで狩りに協力してもらえるうえに野生動物から守ってもらえることなど、お互いに生活のスタイルが近く、お互いにメリットがあったことからオオカミと人間は一緒に暮らすようになったと考えられています。
野生のイヌっているの?
「イヌ」とは基本的に人間がオオカミを飼いならし、飼育する「家畜動物」のことを指します。そのため本来であれば野生のイヌは存在しませんが、日本をはじめ、世界中には逃げ出したり捨てられたりしたイヌが野生化した「野犬」(やけん、のいぬ)が生息しています。
日本では動物に関する法律が整備されたこと、イヌを室内飼育する人が増えたことなどから野犬の数は減少しています。しかし山口県や京都府などの一部地域では野犬が増えていて、時には人がかまれる被害が出ています。イヌが野犬になってしまう理由としてはイヌを飼えない状況になったから、子犬が産まれてしまい飼いきれなくなったからと捨てられてしまうといった事例のほか、猟師が年老いて猟犬として活躍できなくなったイヌを山に捨てるという事例も少なくないそうです。
なお「イヌの祖先はオオカミって本当?」でも名前が出ましたが、オーストラリアには「ディンゴ」という野生のイヌが生息しています。ディンゴの祖先は4000年ほど前に人の手でオーストラリアに連れてこられたと考えられていますが、現在はヒツジなどの家畜を襲うことから害獣として扱われています。
世界にはどのくらいの種類のイヌがいるの?
イヌにはチワワのような小型犬からセントバーナードのような大型犬まで、さまざまな種類がいることが知られています。それでは世界には、どのくらいの犬種が存在するのでしょうか。
世界各国にはたくさんの犬種が存在していて、公認されていない犬種を含めるとなんと700~800種類もの犬種が存在すると考えられています。
なおイヌは目的に応じてさまざまな犬種と交配されることが多いため、長い歴史の中で「クライズデール・テリア」や「ターンスピット」のように絶滅してしまった犬種もあります。しかしこれからもさまざまな犬種が交配され、新たな犬種が作り出されていくことでしょう。
なお日本国内で純粋犬種の犬籍登録や血統書の発行を行っている「ジャパンケネルクラブ(JKC)」という団体では、約200種の犬種を公認しているそうです。
日本独自のイヌにはどんな種類がいるの?
世界には数多くの犬種が存在していますが、日本にも古くから日本で暮らしている「日本犬」と呼ばれる犬種が存在します。
日本犬には多くの種類がありますが、中でも「秋田犬」(秋田県)、「甲斐犬」(山梨県)、「紀州犬」(三重県・和歌山県)、「柴犬」、「四国犬」(四国地方)、「北海道犬」(北海道)の6種は国の天然記念物に指定されています。
なお日本犬の中には「薩摩犬」(鹿児島県)や「高安犬」(山形県)のように、他の犬種と混じってしまい、絶滅してしまった犬種も少なくありません。
イヌが見られる動物園・施設はあるの?
イヌが好きな人の中にはイヌを飼いたいけれど事情があって飼えない、飼おうと考えているけれどその前に実際に触れ合ってみたい……と考えている人もいるのではないでしょうか。そんな人におすすめしたいのが、イヌを中心に飼育している施設です。
実は全国には愛知県の「わんわん動物園」、群馬県の「世界の名犬牧場」、茨城県の「つくばわんわんランド」など、イヌを飼育している施設が数多くあります。これらの施設ではたくさんの犬種が飼育されていて、エサやりや散歩などのふれあい体験ができるため、イヌ好きな方は遊びにいってみると良いかもしれません。
イヌはどのくらい生きるの?
イヌの寿命については諸説がありますが、平均すると14年ほどだと考えられています。全体的に大型犬ほど寿命が短く、小型犬ほど寿命が長い傾向にあります。
近年はイヌに関する研究が進んでいて、室内飼いの増加、ドッグフードの質の向上、動物医療の発展などさまざまな理由によって、イヌの寿命は少しずつ伸びているといわれています。これは喜ばしいことである反面、寝たきりや認知症になってしまい、介護を必要とする老犬が増えているという事実も知っておいた方が良いでしょう。
なおギネス世界記録によると世界で最も長生きした犬はオーストラリア原産の牧羊犬、「オーストラリアン・キャトル・ドッグ」のブルーイー(BLUEY)で、なんと29年と5カ月も生きたそうです。
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イヌ 参考文献
- 猪熊 壽・遠藤 秀紀(2019年)『アニマルサイエンス3 イヌの動物学 第2版』東京大学出版会
- 一般社団法人ジャパンケネルクラブ「世界の犬」 https://www.jkc.or.jp/worlddogs/introduction
- ナショナルジオグラフィック「イヌへの進化のきっかけ 人と遊ぶオオカミだった?」 https://natgeo.nikkeibp.co.jp/atcl/news/20/092500561/
- Guinness World Records「Oldest dog ever」 https://www.guinnessworldrecords.com/world-records/oldest-dog
- 環境省「犬猫の大きさと流通しているケージに関する調査結果」 https://www.env.go.jp/nature/dobutsu/aigo/2_data/tekisei/h29_06/ref02.pdf
- ダイヤモンド・オンライン「犬の平均寿命は30年で約2倍に!知られざる超高齢化の実態」 https://diamond.jp/articles/-/78393
- 一般社団法人 ペットフード協会「2020年(令和2年)全国犬猫飼育実態調査 結果」 https://petfood.or.jp/topics/img/201223.pdf
- 考える人「分け入っても分け入っても日本語「猫・犬」」 https://kangaeruhito.jp/article/3599
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