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ディンゴ

ディンゴ

ディンゴ

皆さんは「ディンゴ」という動物を知っていますか?聞いたことがない方も多いですよね。 知っている方はもしかしたディンゴが起こした恐ろしい事件も知っているかもしれません。 事件もふくめて、ディンゴがどういう動物なのか紹介していきます。

ディンゴ 基本情報

イヌ科イヌ亜科イヌ族イヌ属タイリクオオカミ種ディンゴ

体長:103〜122cm 尻尾:30〜33cm

体重:10〜15kg

ディンゴは基本的にはオーストラリア大陸に住んでいて、砂漠や草原、林や緑の多いところにも暮らしています。ほとんどのディンゴが中型犬から大型犬くらいの体の大きさで、黄色い毛と、真っ直ぐピンっと立った耳を持っています。

ですが暮らしている場所によって少しずつ色や体の大きさが変わってきます。

例えば、砂漠に住んでいるディンゴは赤色、ゴールデンイエロー、サンドカラーなどの毛色で他の場所に暮らすディンゴに比べて少し体が小さいです。

一方、山に暮らしているディンゴはクリーム色の毛色なので、住んでいるところによってなじむように、暮らしやすいように色や体の大きさが変化していったのかもしれません。

属性も毛色も体の特徴も柴犬にとても似ていますが、犬ではなくタイリクオオカミの中のディンゴという種類の動物なのです。

ディンゴはまだまだ研究途中の動物で、わからないことや、学者の中でも意見が割れたりしています。色々な意見もふくめてディンゴを紐解いていきましょう。

ディンゴ Q&A

ディンゴ
ディンゴの名前の由来は?

昔々にまでさかのぼりますが、シドニーにあるポート・ジャクソン湾にいたアボリジニのある部族が犬を飼育していました。その犬のことを「ティンゴ」と呼んでいたそうです。そこからディンゴと呼ばれるようになったそうです。

一般的にはディンゴと呼ばれますが、場所や人によっていろんな呼ばれ方をしています。

例えば、高い山に住んでいるディンゴを「高山ディンゴ」と呼んでいたり、砂漠に住んでいるディンゴを「砂漠ディンゴ」と呼んでいたりします。他にも「北部ディンゴ」や「ケープヨークディンゴ」、「熱帯ディンゴ」などと呼んだりしています。

先ほどお話しした通り、場所によって毛の色や体の大きさが違うので分けて呼んでいるのかもしれませんね。

ディンゴ
ディンゴはどうしてそこに住んでいるの?

大昔、4000年〜5000年も前にインドネシア、または、インドからオーストロネシア人がオーストラリアに船で交易(こうえき)に来た時に、一緒に連れてこられたのがディンゴだという考えがあります。

考えられないくらい昔からディンゴはいたんですね。

そこからオーストラリアの先住民であるアボリジニの人たちと一緒に暮らすディンゴと、野生で暮らすディンゴに分かれていきました。

アボリジニの人たちと暮らしていたディンゴは、人間が食べきれなかったご飯を食べたり、温かいディンゴを抱きしめて一緒に寝ていたそうです。

人間とディンゴが一緒に寝ているところを想像すると可愛いですね。

ディンゴ
ディンゴは何を食べているの?

ディンゴは主にウサギやネズミ、ワラビーなどの前歯が発達している動物を食べています。他にも鳥やトカゲ、果物なども食べています。

群れを作って行動するので、小動物などは単独で捕まえますが、大きな動物などはみんなで協力して捕まえていきます。

群れには10匹ほどいるのでみんなが食べられるように協力して生活しているんですね。

ディンゴ
ディンゴの寿命(じゅみょう)は?

ディンゴの寿命(じゅみょう)は野生だと5〜10年ですが、環境が整っている飼育下だと18〜20年は生きるのだそうです。中型犬〜大型犬くらいの犬の平均寿命(じゅみょう)より5年ほど長いので、それだけ野生の厳しい環境で強くなったのがわかりますね。

ディンゴ
ディンゴは犬とは別の動物なの?

元々ディンゴは野犬と呼ばれていて、顔も犬と似ていることから勘違いされることも多いようですが、全くの別物と考えられています。

同じタイリクオオカミ種の中にいる「イエイヌ」という動物の亜種(あしゅ)であると言われていましたが、今ではタイリクオオカミ種の1つの亜種(あしゅ)としてイエイヌと並んでいます。

ですが独立した種類であるとも言われていて、研究者の中でも意見が違って来ているようです。

その似ているイエイヌと混血したディンゴも産まれていて、「ディンゴ・ハイブリッド」という種類になるそうです。イエイヌだけではなく、犬との混血も生まれているそうで、ペットとしても人気なんです。

ですがその一方で、純血のディンゴの数は少なくなっていて、フレーザー島に住んでいるディンゴが最も純血なのだそうです。

ディンゴ
ディンゴはどうやって増えるの?

ディンゴは5〜7月にかけて繁殖(はんしょく)し、9週間ぐらいで3、4頭産まれます。子育てはお父さん、お母さんだけではなく群れのお姉ちゃんたちも一緒に育てていきます。お父さんとお母さんは縄張りを守るためにマーキングをしたり、ご飯をとりに出掛けていきます。その間群れのお姉ちゃんたちが赤ちゃんのお世話をします。みんなで協力して赤ちゃんを守っているんですね。

ところで群れの中にお兄ちゃんはいないのでしょうか。

ディンゴのオスは成長すると群れから追い出されるか、自分から出ていってしまいます。自分で新しい家族を探しなさいと言われているのかもしれません。

生後2ヶ月になると自分で獲物を探す練習をし始めます。ですがまだまだ練習中なので、ご飯を食べるときは親やお姉ちゃんたちに手伝ってもらいます。

1年で独立して、オスは群れから出ていき、メスは次に産まれる赤ちゃんのために群れに残ります。1年で独立するというのは、私たち人間からするととても早いように感じますよね。その短い1年の間に全て1人で出来るようになる為に、親やお姉ちゃんたちは厳しく育てているのかもしれません。

ディンゴ
ディンゴはとっても強いって本当?

ディンゴはオーストラリアの中でもトップに君臨(くんりん)しています。

オーストラリアにいたフクロオオカミという動物とどちらが強いのか争い、フクロオオカミが全滅(ぜんめつ)してしまったのです。今ではディンゴがいないタスマニア島にフクロオオカミは住んでいます。

他にもタスマニアデビルという動物がオーストラリアでは絶滅(ぜつめつ)してしまい、タスマニア島だけに住んでいるのも、ディンゴの影響(えいきょう)でいなくなったと考えられているそうです。

可愛い顔をしていますが、性格は獰猛(どうもう)で、縄張り意識が強いためかもしれません。

ディンゴ
ディンゴの恐ろしい事件って何?

最初に少しだけお話しした、ディンゴが起こした恐ろしい事件ですが、まずは18世紀後半にさかのぼります。

オーストラリアにイギリスからの移民が増え、ディンゴが家畜(かちく)やペットを襲う(おそう)ことが増え、厄介者として嫌われるようになりました。そこから害獣(がいじゅう)として殺されてしまうこともありました。

そこで1885年、ディンゴが侵入してこないように「ディンゴフェンス」という柵が設置されます。この長さはなんと約5320kmもあるのです。長すぎてどれくらいなのかわからないですよね。日本列島が約3000kmなので、とてつもなく長い柵ということがわかります。

そのようにして、ディンゴに家畜を荒らされないように対策していました。

1980年、悲しい事件が起こります。

エアーズロックの近くにあるキャンプ場から女の子の赤ちゃんが行方不明になりました。お母さんは「赤ちゃんはディンゴにさらわれてしまった」と言いましたが証拠がなく、お母さんが赤ちゃんを殺したとして、終身刑(しゅうしんけい)にされてしまいます。お母さんはやっていないと主張していましたが、信じてもらえませんでした。お父さんも何もやっていないのに、執行猶予(しっこうゆうよ)付きの有罪判決(ゆうざいはんけつ)が出されてしまったのです。

1988年、事件は急展開します。

なんとディンゴの巣に、赤ちゃんの服の切れ端があったのです。お母さんは無罪になり、解放されました。

そこから本当にディンゴの仕業なのか捜査(そうさ)は続けられ、約30年後の2012年、ディンゴが赤ちゃんを襲った(おそった)と確定されました。

他にもディンゴが人間を襲い(おそい)、死亡する事件が起きており、100匹以上のディンゴが殺処分されています。

ディンゴは家族を守る為に、生きていくためにしている行動なのだと思いますが、襲われるのはとても怖いです。人間とディンゴが上手く共存できるような環境になるといいですね。

ディンゴ
ディンゴは絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)なの?

「ディンゴは犬とは別の動物なの?」でも少しお話ししましたが、混血のディンゴは増えている一方で、純血のディンゴは数が少なくなり、絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)に指定されています。

保護施設(ほごしせつ)も設立されていて、ディンゴの恐いイメージをなくす活動や、他の国に輸送する活動もされていますが、地域によってディンゴに対する対応が違っているのが現状です。

家畜(かちく)やペット、人間を襲う(おそう)から恐いという意見の一方で、野良猫やきつねを追い払ってくれるという意見もあり、対応が違っているようです。

実際、ディンゴは犬ではないですが管理面では犬として扱われていて、害獣(がいじゅう)として殺すことが認められている地域もあります。

これを研究者たちは、ディンゴを犬ではなくオーストラリア州の固有種(こゆうしゅ)として、保護していくべきだと主張しています。

いつか全てのディンゴが保護されて伸びやかに自然と暮らせる日が来るのを願っています。

ディンゴ
最新の遺伝子研究によるディンゴの純血度って?

最新の遺伝子研究により、ディンゴは多くが純血であることがわかりました。これまではディンゴが犬とたくさん交雑していると思われていましたが、新しい方法で調べたところ、実際にはほとんどが純血ディンゴだったのです。

新しい遺伝子解析技術では、ディンゴの遺伝子(DNA)を非常に細かく調べることができます。以前の方法では23箇所だけを調べていましたが、今の技術では195,000箇所を調べることができます。これにより、ディンゴが犬の血を引いているかどうかをより正確に判断できるようになりました。

地域ごとの調査結果も興味深いです。ビクトリア州では、以前は純血ディンゴが4%しかいないと言われていましたが、新しい研究では87.1%が純血であることがわかりました。ニューサウスウェールズ州やクイーンズランド州でも、ほとんどのディンゴが純血で、犬との交雑は少ないことが確認されました。北部準州、南オーストラリア州、西オーストラリア州でも同様に純血度が高いことがわかりました。

この研究結果から、ディンゴを「野犬」として一括りにせず、純血ディンゴを保護することが大切だとわかります。過去の方法では犬との交雑が多いとされていましたが、実際にはそうではないため、ディンゴの管理方法を見直す必要があります。純血ディンゴの保護と、彼らが生態系において果たす重要な役割を再評価することが求められています。

この新しい情報をもとに、ディンゴの保護と管理に関する議論がさらに進むことを期待しています。

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