ジャコウネコ

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Large_Indian_Civet,_Viverra_zibetha_in_Kaeng_Krachan_national_park.jpg

ジャコウネコという動物を知っていますか?「ネコ」という名前が入っていますがネコとは全く種類の違う動物なんです!
これだけではなく、ジャコウネコはコーヒーや香水とも深い関係がある動物です。全く想像がつかないですよね。
そんな謎の多いジャコウネコを紹介していきます!

Ads

動物完全大百科記事へコメント

〜基本情報〜

脊索動物門(せきさくどうぶつもん)脊椎動物亜門(せきついどうぶつあもん)哺乳綱(ほにゅうこう)食肉目(しょくにくもく)ネコ型亜目ジャコウネコ科

頭胴長:45〜63cm

尾長:30〜40cm

体重:2.7〜3.6kg

ジャコウネコは食肉目(しょくにくもく)の中で最も種類が多い科で、アフリカ大陸、ユーラシア大陸、インドネシア、スリランカ、フィリピン、台湾、中国、インド、日本など、世界中様々なところに住んでいます。日本で生息しているのは、「ハクビシン」という種類です。聞いたことがある方や、実際に見たことがある方もいるのではないでしょうか。

見た目は体が細長く、尻尾は体より少し短いくらいであまり長さは変わりません。とても長い尻尾を持っているんですね。

ジャコウネコの中で1番大きい種類は「オオジャコウネコ」という種類で、尻尾を除いた頭からお尻までの長さが83〜90cmと通常のジャコウネコより倍ほども大きい体を持っています。

多くのジャコウネコにはお尻の穴周辺に臭腺(しゅうせん)、または肛門腺(こうもんせん)という強い匂いの液体を出す腺がついています。なんとこの臭腺が香水を作る際に使われることもある液体なのです。

Ads

動物完全大百科記事へコメント

ジャコウネコのQ&A

ジャコウネコの名前の由来は?

「ネコ」とは違う種類の動物ですが、なぜネコが名前に入っているのでしょうか。

みなさんは「ムスク」という香りの名前を聞いたことがありますか?芳香剤や柔軟剤、香水としても使われている香りの名前ですが、ムスクは元々、「ジャコウ」という名前でした。このジャコウという匂いは「ジャコウシカ」という別の動物の分泌液から作られたものだったそうです。ジャコウネコはそのジャコウシカと同じ匂いの液体を出すことから付けられたそうです。

そして1番気になる「ネコ」の部分は、「ネコに似ていたから」という理由だそうです。少し複雑な由来を期待してしまいましたが、誰かに話すときに覚えやすい由来の方が便利かもしれませんね。

やはり由来にも入っている通り、匂いにとても関係していることがわかります。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Paguma_larvata_75496722.jpg

ジャコウネコはどうしてそこに住んでいるの?

ジャコウネコはほとんどの種類が夜行性で、森や草原に住んでいます。種類によっては地上に住んでいる種類や、木の上に住んでいる種類、地下に潜ったり水辺に住んでいる種類もいて様々です。

夜行性なので昼間は岩のしたや草の陰など、敵に見つからないようなところに身を隠して休んでいます。

群れは作らず単独で行動しているか、子どもがいたらお母さんは子どもと一緒に行動します。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Large_Indian_Civet_IMG_5406_02.jpg
出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Common or Asian Palm Civet Paradoxurus hermaphroditus by Dr. Raju Kasambe (3).JPG

何を食べているの?

ジャコウネコは基本雑食です。種類によってはお肉が好きな種類や、植物が好きな種類もいるのですが、好きなご飯があるというだけで少し親近感が湧きますね。

例えばお肉が好きな種類だと小鳥やネズミ、リスなどを食べます。植物が好きな種類だと果実を食べることが多いです。

それでも雑食なのでお肉ばかり、植物ばかり食べるということはありません。他のものもきちんと食べます。生きていくためには好きなものばかりではダメだとわかっているのでしょうか。好き嫌いせずに食べていて見習いたいですね。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Marapatti.jpg

ジャコウネコが香水になっているって本当?

ジャコウネコの由来にもなっていますが、臭腺から出る液が香水に使われています。主な役割は香りを持続させたり、他の香りをより良い香りにするための、いわば縁の下の力持ちのような役割をしています。

そのままの匂いは臭腺というくらいですから臭い匂いがします。ですがこれを薄めるといい香りに変化するのです。この薄めたものを香水の一部として使われています。臭腺からいい匂いの液体を作れると発見した人はすごいですね。

聞いたことがある方や、一度は使ってみたい、そして使っていると言ってみたい方もいるのではないでしょうか。そうです。あの、香水といえば?で思いつく「シャネルの5番」にも使われていたのです。それだけいい仕事をするものがジャコウネコから取れるとは驚きです。

ただ、香水にジャコウネコの分泌液が使われていたのは昔の話で、今では動物愛護の観点から使われていません。分泌液を取るためにずさんな飼育などもされていたようなので今は守られていて安心しました。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Asian_Palm_Civet.jpg

ジャコウネコのフンはコーヒー豆になるって本当?

「コピ・ルアク」というコーヒー豆を聞いたことがありますか?高級なコーヒー豆と言われていて、希少価値の高いものです。専門家やコーヒー好きな方は飲んだことがあるかもしれませんね。

なんとこの「コピ・ルアク」、ジャコウネコのフンから採取しているんです!

そう聞くと抵抗のある方もいるかもしれませんので、詳しく説明しますね。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Asian_Palm_Civet_Over_A_Tree.jpg

主に「マレージャコウネコ」という種類のジャコウネコがコーヒーの実を食べますが、実際に食べているのは外側についている実です。コーヒーの実は、皮や、実、そしてパーチメントというものに覆われていて最後に豆が出てきます。皮を剥いで実を食べ、パーチメントが付いたまま飲み込んでしまいますが、パーチメントは消化されないので豆を覆ったままフンと一緒に出てきたものを使っているのです。

ですので、実際にコーヒーに使われている豆はフンに直接触れているわけではありません。外側のパーチメントも綺麗に洗浄し、剥いているので安心できますね。

そして驚くことに、パーチメントに覆われた豆がマレージャコウネコの体内を通っている間に、消化酵素などで苦味やカフェインが減り、コピ・ルアク独特の香りと味を出すことができるのです。

マレージャコウネコの体内に入らなければ作られない高級なコーヒーということですね。

なぜ高級と言われているかというと、味や香りの良さもありますが、1匹から1日3g程度しか取れないからです。それに豆は生物(なまもの)なので体の外に出ると時間と共にどんどん劣化していってしまいます。フンとして体の外に出てから2時間以内に取らなければコピ・ルアクとして使えなくなってしまうので、管理が大変です。

ジャコウネコにとっては、生きるために食べてフンをしているだけなのでいつ食べていつフンをするかはわかりません。このように管理が難しい点も高級と言われる部分ではないかと思われます。

しかし高級で希少価値が高くなると、良くないことを考える人たちも出てきますよね。ジャコウネコを無理やり飼育して、無理やりコーヒーの実を食べさせて採取している人たちもいるそうです。規制はされていますが、なくならないのが現状です。ジャコウネコが自然に食べてフンをするという生活が戻ってくることを願うばかりです。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Roasting coffee – Satria coffee plantation (17058380675).jpg

ジャコウネコが絶滅の危機って本当?

ジャコウネコの中でも「ビントロング」という種類の数が減少し、絶滅の危機にあると言われています。森林の伐採などで住む場所や食べるものがなくなっていることも原因のひとつですが、食用や薬用、毛皮などの目的で密猟されていることも原因と思われています。

ただ野生の動物はどんな病気を持っているかわかりません。専門的な知識を持たずに解体したり食べたりすると大変なことを引き起こす可能性もあります。世界的に流行し、他の動物や、我々人間の生活を変えてしまう病気にもなりかねません。

こうしたことから絶滅危惧種に指定され、今では各地の自然保護区域で保護されているそうです。

安心はしますが、このような悲しいことが起こらず、人間も動物も暮らしていけるような世界でありたいですね。

出典:https://unsplash.com/photos/KwHRJOpMCbg

Ads

動物完全大百科記事へコメント

ジャコウネコの種類

・アフリカジャコウネコ

・インドブチジャコウネコ

・ビルマジャコウネコ

・ジャワジャコウネコ

・インドジャコウネコ

・オオジャコウネコ

・コジャコウネコ

・アビシニアジェネット

・アンゴラジェネット

・ブルドンジェネット

・タテガミジェネット

・アフリカゴマフジェネット

・ヨーロッパジェネット

・ジョンストンジェネット

・オオブチジェネット

・モリジェネット

・ミズジェネット

・ダイオウジェネット

・サーバルジェネット

・ジェネットモドキ

・ケープジェネット

・ジャイアントジェネット

・レイトンリンサン

・アフリカリンサン

・ビントロング

・ミスジパームシベット

・セレベスパームシベット

・ハクビシン

・パームシベット

・ジャードンパームシベット

・キンイロパームシベット

・オーストンヘミガルス

・キノガーレ

・クロヘミガルス

・タイガーシベット

参考文献

Wikipedia
https://ja.wikipedia.org/wiki/ジャコウネコ科

コトバンク
https://kotobank.jp/word/ジャコウネコ-75905

kodannsha Bluebacks
https://gendai.ismedia.jp/articles/-/76436?page=5

ニコニコ大百科
https://dic.nicovideo.jp/a/ジャコウネコ

COFFEE TOWN コーヒータウン
https://www.ejcra.org/column/ca_66.html

Elephant Talk エレファント・トーク 動物コンサルタントユニット
https://www.elephanttalk.jp/site/pet-column/1462.html

アイキャッチ画像
https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Small_Indian_Civet_in_Higashiyama_Zoo,_Tashiro-cho_Chikusa_Ward_Nagoya_2018.jpg