ボンベイ

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Bombay_Katzen_of_Blue_Sinfonie.JPG

日本ではあまり馴染みのないネコ。それが今回ご紹介する「ボンベイ」です!
一見、ごく普通の黒ネコにも見えますが、ボンベイの誕生秘話にはある一人の女性が大きく関わっています。
果たしてボンベイの歴史にはどんな秘密が隠されているのか?そしてボンベイという名前の由来は?
一緒にそのワクワクを覗いてみませんか?

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~基本情報~

原産国 アメリカ 

体重 オス:3.5~5.5kg メス:3.5~5kg

ボンベイは「黒ヒョウのようなネコを作りたい。」そんな願いを叶えるため、アメリカ在住のとあるブリーダーによって開発された品種です。

そのブリーダーの名は、ニッキー・ホーナー。子どもの頃からネコ好きだった彼女は、アメリカン・ショートヘアやバーミーズなどのブリーディングを行ない、いつしか名門キャッテリーとして有名になります。そして時は流れ、ホーナーは冒頭でもご紹介したとおり「小さな黒ヒョウに似たネコを作りたい」という思いを抱き始めるのですが、なかなか交配は順調に進まなかったようです。

まず初めに、自身のキャッテリーで飼育していたアメリカン・ショートヘアとバーミーズを掛け合わせますが、実際産まれてきたのは「あまりパッとしないアメリカン・ショートヘア」といった感じの子ネコでした。

その後交配の試行錯誤を繰り返し、1966~1972年の6年間に合計27匹の子ネコが誕生。外見はバーミーズの美しく、かつ艶々とした被毛とアメリカン・ショートヘアのゴールドアイを見事に受け継ぎました。この子ネコたちがボンベイの基礎といわれているそうです。

さらにホーナーはボンベイをより広く周知させ、新しいネコ種として認めてもらうために奔走(ほんそう)を続けます。27匹の子ネコたちはあっという間に大きくなり、やがて大人になる頃今度はその子ネコたちが子どもを産み始めました。その結果最初に生まれた27匹のネコ以外にも、およそ100匹以上のネコがいたそうです。

ホーナーは新しい飼い主やブリーダーを探すのにとても苦労したようで、特にバーミーズのブリーダーからは難色(なんしょく)を示されたといわれています。なんとかネコたちの引き取り手は見つかったものの、今度は品種登録の要件を満たすためにさまざまな活動を継続。その甲斐あって、1976年、ついにCFA(アメリカ猫愛好家協会)で正式に公認種として認められたのです。

その後ボンベイはブリーディング後継者の努力により、キャットショーで賞を取るほどの成長ぶりを見せていきました。新しいネコを世間に知ってもらうために走り続けた功労者のニッキー・ホーナーですが、ボンベイを自らの「遺作(いさく)」とし、21世紀を迎える前に生涯を終えたそうです。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Bombay_Black_IMG_4431_Large.JPG

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ボンベイのQ&A

ボンベイの名前の由来は?

インドの黒ヒョウに似ていることが由来です。また、インドの都市であったボンベイ(現在のムンバイ)にもちなんでいるとのこと。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Gato_Pantera-Bombay.JPG


ボンベイのカラーバリエーションは?

■ボディカラーの種類

ブラックのみです。

■模様や配色の種類

・ソリッドカラー
顔や体、脚やしっぽなど体全体が単色

■アイカラーの種類

ゴールド、オレンジ、カッパーがあります。

■毛種

ボンベイは短毛種(たんもうしゅ)のみです。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Bombay_Katze_of_Blue_Sinfonie_1.JPG


ボンベイの外見はどんな感じ?

丸めの頭に、丸めの大きな目。バランスの良い耳が付き、体型はセミコビーと呼ばれています。ほどよく引き締まった長い脚、体の大きさは中型ですが意外と重量感もあり、筋肉質ボディといえるでしょう。

被毛は漆黒エナメルのような輝きで、手触りはなめらかです。体全体がブラック1色で統一された外見は、おとぎ話に出てくる感じのシンプルに美しいネコを想像させますね。黒ネコ好きの方にはたまらない品種のひとつです。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Bombay_Katze_Ebene_of_Blue_Sinfonie.JPG


ボンベイにはヒョウ柄がついているの?

黒ヒョウには光の加減で斑点模様が見えることがあります。では黒ヒョウに似ているボンベイにみヒョウ柄が入っているのでしょうか?結論からいうと、ボンベイにヒョウ柄はありません。あくまでも「インドの黒ヒョウに似ている」というだけなので、斑点模様までは関わりがないようです。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:BOM_Paragon_of_Beauty_Bagilis_(11321117815).jpg


ボンベイを購入するにはどれくらいかかるの?

ブリーダーやキャッテリーから購入する場合は、20~30万円ほどかかります。購入を検討する際、お気に入りの子が見つかったら、一度見学に行くのが良いでしょう。

ボンベイはペットショップだとほぼ見られません。そのためブリーダーから購入するのが一般的といえるでしょう。

さらに、ブリーダーの上段資格である「キャッテリー」から購入する場合、一般ブリーダーよりも高値になることがあります。キャッテリーは、血統書発行団体である「CAF」、「TICA」の認定が必要なので、この資格を持っているブリーダーは信頼度も高く、付加価値がつくといえるでしょう。高値の理由は、信頼の証という訳です。

ちなみに値段に幅が出てしまう条件について何点か紹介します。

・子ネコであること
・血統が優秀であること
・珍しいカラーを持っていること

他に条件はあるものの、特に上記条件に当てはまると高額になる傾向があります。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Gato_Bombay_de_frente.jpg


ボンベイの性格や特徴をもっと詳しく知りたい!

①明るくて穏やかな性格!

アメリカン・ショートヘアの明るくて活発な部分と、バーミーズの穏やかで愛情深い部分の良いとこ取りをミックスさせたような性格です。小さなお子さんや他の動物とも上手に付き合っていけるので、家族が増える可能性があるお家でも飼いやすい品種といえます。

②甘えん坊で飼い主さん大好き!

周りの状況にも上手く対応できるボンベイですが、その一方甘えん坊な部分も持ち合わせています。特に飼い主さんに対しては、甘えた姿をたくさん見せてくれるかも知れません。どちらかといえばオスの方がその傾向が強く、メスの方が比較的落ち着きがあるようです。もちろん性格には個体差があるため、メスでも甘えん坊な子はいますよ。

③頭も良くて賢い!イヌのような部分も?

比較的賢いネコなので、しつけに困ることもないでしょう。遊ぶことも大好きなので、上手く教えてあげればイヌのように投げたおもちゃを持ってこい遊びもできちゃうんだとか。ネコでは珍しくリードをつけてお散歩に行くことも可能ですが、外が苦手な子やリード&ハーネスを嫌がる子もいるので、無理矢理お散歩させるのは避けるのがベターです。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Gato_Bombay_Echado.JPG


ボンベイのかかりやすい病気ってなに?

ボンベイのかかりやすい病気は「肥大型心筋症(ひだいがたしんきんしょう)」、「歯周病(ししゅうびょう)」があります。

① 肥大型心筋症

心臓の筋肉が厚くなり、それによって心臓の収縮が上手くいかなくなってしまう病気です。遺伝が原因で発症することが多いため、具体的な予防法はまだ見つかっていません。

発病後、目立った症状が出ない場合もあるため、気づいた時には血栓症(けっせんしょう)を併発していることもあり、最悪の場合死に至るケースもあります。では、病気を早期発見するためにはどうすれば良いのでしょうか?結論としては定期健康診断を受けるのが重要になります。

肥大型心筋症はまだ画期的な治療法がないので完治は難しいですが、早ければ早いほど対症療法(たいしょうりょうほう)によって病気の進行を遅らせることは可能です。


②歯周病

歯と歯茎の間にある細菌によって引き起こされる炎症性疾患です。歯垢や歯石が溜まることで歯周病になるケースが多いですが、口腔内の腫瘍や、猫エイズといった他の感染症が原因になる場合もあります。

口臭がしたり歯から出血していたら、一度動物病院の受診をオススメします。特に高齢ネコになると歯周病の原因となる歯石が溜まりやすくなるため、子ネコのときから口腔ケアに慣れさせておくのが良いかも知れません。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Gato_bombay_de_perfil.jpg


ボンベイの寿命は?

ボンベイの寿命は13~15年といわれています。一般的なネコの寿命は12~16年なので、健康問題に気をつけてあげれば、長生きしてくれるネコです。

出典:https://pixabay.com/images/id-2581804/

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参考文献

まるごとわかる猫種大図鑑 監修:CFA公認審査員 早田由貴子

世界中で愛される美しすぎる猫図鑑 監修 今泉忠明

The Cat Fancier’s Association, Inc.
https://cfa.org/bombay/

猫との暮らし大百科
https://www.anicom-sompo.co.jp/nekonoshiori/

みんなの猫図鑑
https://www.min-nekozukan.com/

Pet Smile news forネコちゃん
http://psnews.jp/cat/

子猫のへや
https://www.konekono-heya.com/sitemap.html

ねこちゃんホンポ
https://nekochan.jp/

公益社団法人 埼玉県獣医師会
https://www.saitama-vma.org/topics/猫の遺伝性疾患について/

RIKA りか動物病院 猫の歯周病のお話
http://rika-ah.com/byouki/byouki25.html

アイキャッチ画像
https://www.pexels.com/ja-jp/photo/4566563/