バーニーズ・マウンテン・ドッグ

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皆さんは「バーニーズ・マウンテン・ドッグ」というイヌの名前を聞いたことがありますか?
マウンテン、英語で山というぐらいですから、なんだか山犬っぽくて強そうなイヌを思い浮かべますね!
確かにこの犬種は、山岳地帯(さんがくちたい)で暮らしていた歴史のある大型犬なので、たくましいイヌだということは間違いありません。
その一方、顔が愛くるしいというギャップもあるため、人気大型犬のひとつにも数えられています。
そんなバーニーズ・マウンテン・ドッグについて、もっと知りたくありませんか?
では、一緒にこのページで秘密を覗いてみましょう!

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~基本情報~

原産国 スイス

体高 オス:64~70cm メス:58~66cm

体重 オス:36~52kg メス:32~43kg

バーニーズ・マウンテン・ドッグの歴史はとても古く、古代ローマ帝国軍が統治(とうち)のためスイスに侵攻(しんこう)した際、一緒に連れてきたマスティフ系のイヌとスイスの土着犬(どちゃくけん)が交雑して生まれたイヌが祖先と考えられています。

当時のバーニーズ・マウンテン・ドッグはデュールベッヘラーと呼ばれていたようですが、持ち前の力強さを活かして人々の荷物運びを手伝い、ときには牛追い犬や番犬として活躍(かつやく)の場を広げていきました。

飼い主さんの指示には必ず従いつつ、穏やかな一面も見せてくれる性格と、山岳地帯(さんがくちたい)で鍛えられた足腰を持つ彼らは、やがてその土地に住む人たちにとって欠かせないパートナーとなり、いつも大事にされていたそうです。

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バーニーズ・マウンテン・ドッグのQ&A

バーニーズ・マウンテン・ドッグの名前の由来は?

バーニーズ・マウンテン・ドッグは「ベルナー・ゼネンフント」という別名があり、ベルナーは原産国のスイスにあるベルン市から由来し、ベルンの山犬という意味があります。またベルナーは英語に訳すとバーニーズと呼ばれ、そして山犬、つまり英語でマウンテン・ドッグという訳です。

出典:https://unsplash.com/photos/GAn_4SkPSlY

バーニーズ・マウンテン・ドッグのカラーバリエーションは?

ホワイト、ブラック、ブラウンからなるトライカラーのみです。

バーニーズ・マウンテン・ドッグは何グループ?

JKC(ジャパンケネルクラブ)やFCI(国際畜犬協会)のルールに従った分け方の場合、「第2グループ」になります。

番犬や警察犬、また人間と一緒に作業を行なう「使役犬(しえきけん)」として活躍しているイヌが所属しています。

第2グループの犬種は、番犬としての役割を担うことが多いため、大きくて強靭(きょうじん)、そしてたくましい体をもつ犬が多いのが特徴的です。

基本的に警戒心(けいかいしん)が強く、攻撃性も強い性格の持ち主ですが、自分の家族や飼い主に対しては愛情深く接し、従順で忠誠心(ちゅうせいしん)が高い一面もあります。

そのため飼育の際は、飼い主さんが第一位のリーダーであることを認識させる必要がありますが、しっかりと信頼関係を築ければ、とても頼りがいのあるパートナーになってくれることでしょう。

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バーニーズ・マウンテン・ドッグの外見はどんな感じ?

垂れ耳でマズル(口まわりから鼻先にかけて)は短く、とても可愛いつぶらな目をしています。ストレート&ゆるいウェーブがかかった被毛も特徴的です。そして、目の上にある茶色のマーキングがちょっとまろ眉にも見えるため、このマーキングが顔の可愛さをより引き立たせているといえるでしょう。子イヌのバーニーズ・マウンテン・ドッグはまさに動くぬいぐるみのようです。

成犬(せいけん)になると動くぬいぐるみから、手足を含め、全てががっしりとした頑丈(がんじょう)な体つきの大型犬に成長します。大きくなっても可愛らしさの面影(おもかげ)は残っているので、可愛いとたくましさを兼ね備えたイヌといえるでしょう。

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バーニーズ・マウンテン・ドッグは絶滅の危機があったって本当?

本当です。基本情報でも少しご紹介したとおり、バーニーズ・マウンテン・ドッグは持ち前の力強さを活かして人々の生活を手伝っていましたが、文明が進むと自動車や機械による新しい運搬(うんぱん)手段が登場し始めました。

するとバーニーズ・マウンテン・ドッグを飼育する人たちが徐々に減っていき、個体数も激減してしまいます。「このままでは絶滅してしまうかも知れない・・・」そんなとき、この危機的状況を解決しようと立ち上がったのが、スイスの愛好家やブリーダーたちでした。

愛好家たちは純粋なバーニーズ・マウンテン・ドッグを探すことから始めますが、なかなか見つかりません。それでもなんとか純粋なバーニーズ・マウンテン・ドッグを発見します。そこは車や機械などが入れない山奥だったため、彼らは仕事を奪われず生き残ることができていたのです。

そして1892年、このバーニーズ・マウンテン・ドッグをもとにした繁殖が始まり、10年後の1902年にはドッグショーに出場できるほど、順調に数を増やすことができました。

現在ではコンパニオンドッグとして飼われているケースも増えています。

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バーニーズ・マウンテン・ドッグの寿命は?

バーニーズ・マウンテン・ドッグの寿命は7~10年といわれています。小型犬~大型犬までを含めたイヌ全体の平均寿命はおよそ14年なので、平均より短いといえるでしょう。

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バーニーズ・マウンテン・ドッグはどうして寿命が短いの?

実はバーニーズ・マウンテン・ドッグに限らず、基本的に大型犬は寿命が短いといわれています。まずその理由からご紹介しましょう。

①体を維持するために必要な臓器が小さい

大型犬なら心臓や肺をはじめとする臓器も、全て小型犬より大きいはず。と思われそうですが、実際のところ小型犬と比較して臓器の大きさはそんなに変わらないそうです。

ということは、体が大きければ大きいほどよりたくさんの血液や空気を体内に送る必要があり、それだけ心臓や肺といった各臓器に負担がかかりやすくなります。すると細胞の老化や体の老化も早まるため、その結果短命になりやすいといわれています。

②細胞分裂の回数が多い

大型犬は、細胞分裂を繰り返すことで体を大きくしていき、それを維持しています。ところが細胞分裂ができる回数の上限(じょうげん)は決まっており、限界に到達(とうたつ)すると、もう細胞分裂して新しい細胞と取り替えることができなくなります。そうすると老化が早まり、あっという間に寿命がきてしまうため、短命になりやすいといわれています。

そしてバーニーズ・マウンテン・ドッグは、大型犬のなかでも特に細胞分裂による成長スピードが早いといわれています。これがバーニーズ・マウンテン・ドッグの寿命が短いといわれている理由です。

ちなみに、原産国のスイスでは、「生後3年は若犬(わかいぬ)、さらに3年経ったら良犬(りょうけん)、さらに3年経ったら老犬(ろうけん)、そこから先は神様からの贈り物」ということわざもあるぐらいなので、飼っているバーニーズ・マウンテン・ドッグが10年以上生きてくれたら、とんでもなく素晴らしいことなんだと分かりますね!

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バーニーズ・マウンテン・ドッグを購入するにはどれくらいかかるの?

バーニーズ・マウンテン・ドッグはペットショップだと30万円前後、ブリーダーから購入する場合は30~50万円ほどです。購入を検討する際、お気に入りの子が見つかったら、一度見学に行くのが良いでしょう。

さらに、ブリーダーには上段資格をもつ「シリアスブリーダー」と呼ばれている方たちがいます。日本には約2万犬舎があるといわれていますが、そのなかでもシリアスブリーダーはわずか5%にも満たないそうです。そのため一般ブリーダーから購入するよりも、シリアスブリーダーから購入する方が高額になります。

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バーニーズ・マウンテン・ドッグに必要な運動量やお手入れ方法は?

イヌは犬種を問わず、散歩を必要とする動物です。犬種によって散歩時間や回数は異なりますが、バーニーズ・マウンテン・ドッグは時間を分けて60分を1回ずつ、合計2時間の散歩が必要です。

バーニーズ・マウンテン・ドッグは被毛が多いので、ピンブラシとコームを使って毎日お手入れをしてあげるのがベストですが、換毛期(かんもうき、古い毛がたくさん抜けること)以外でしたら週に2回程度でもOKです。シャンプーは月に1~2回を目安にを行ないましょう。

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バーニーズ・マウンテン・ドッグの性格や特徴は?

①落ち着きのある大人な性格!

基本的に優しくて温厚、穏やかな性格です。子イヌのときはイタズラ好きでやんちゃな行動が多いかも知れませんが、成犬(せいけん)になるにつれて、落ち着いた性格に変わっていきます。ただ体が大きいだけじゃなく、自分自身にゆるぎない自信を持っているので、他のイヌに威嚇(いかく)されても、相手にせず余裕の表情でかわします。

愛情深いので、飼い主さんや家族を守ろうとする気持ちが強く、もし何かあったときは番犬としても活躍してくれます。体が大きいので飼育が大変かも知れませんが、信頼関係が築ければとても頼りがいのあるパートナーになってくれることでしょう。

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②寒さには強いけど暑いのは苦手

雪の降るスイスの山岳(さんがく)で飼育されていたバーニーズ・マウンテン・ドッグは、寒さには強い一方、暑いのには慣れていないので苦手です。そのため、日本の夏はバーニーズ・マウンテン・ドッグにとって、とても辛い季節といえるでしょう。

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注意すべきポイントとして、夏の時期はクーラーのきいた涼しい部屋で飼育をする、気温が最も高くなる時間の散歩や運動は禁止して、早朝や夜間といった涼しい時間を選んで散歩に連れていくなどがあります。

「バーニーズ・マウンテン・ドッグに必要な運動量やお手入れ方法は?」のQ&Aでもご紹介したとおり、毎日2時間の散歩を行なうのが確かに理想といえますが、天気や気温によってなかなか2時間きっちり散歩するのが難しいケースもあると思います。

どうしても散歩時間が短くなってしまう場合、バーニーズ・マウンテン・ドッグは山登りのようなアップダウンがある場所を走ったりすることも好きなので、起伏(きふく)の多いドッグランで遊ばせてあげれば、短時間の運動でもストレス解消になります。暑さ対策を優先しつつ、運動不足にならないよう心がけましょう。

③しつけは子イヌのときから行ないましょう!

まずはじめに、イヌには「社会化期(しゃかいかき)」という時期があります。生後3週~12週齢がイヌの社会化期といわれており、この時期に行なうしつけは今後愛犬と楽しく暮らしていくためにも必ず必要なトレーニングといえるでしょう。

⑴トイレトレーニング

トイレは指定の場所で上手にできたとき、褒めて覚えさせましょう。

⑵甘噛みをやめさせる

子イヌのときは良いのですが、成犬で甘噛みされるとケガのもとになってしまいます。人の手の代わりに噛んでも良いおもちゃを与え、もし飼い主さんの手を甘噛みしてきたら怒鳴らず低い声で「痛い」と一喝(いっかつ)した方が良いでしょう。

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⑶人に触られることに慣れされる

体調不良になったときはどうしても動物病院へ行かなければなりません。そのとき知らない人に体を触られても暴れないよう、普段から飼い主さんがたくさん愛犬とスキンシップをとって、人との触れ合いに慣れさせるのがベストです。

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⑷クレートに入っても怖くないことを覚えさせる

動物病院に行くとき、あるいは災害が起きたときはどうしてもクレートの中へ愛犬に入ってもらう必要があります。バーニーズ・マウンテン・ドッグは体が大きいので、自分から入ってくれるようしつけるのが大切です。飼い主さんの指示で上手に入ってくれたら、おやつのご褒美をあげて、クレートの中は怖くないんだ!と認識させるのがコツです。

⑸散歩で外の世界に慣れさせる

散歩はイヌを飼うにあたって、必要不可欠なことです。そのため生後3ヶ月頃までは飼い主さんが抱っこして外に連れ出すことから始めてみましょう。少しずつ外の世界に慣れてきたら、リードを繋いで自分の足で歩いてもらうことを覚えさせます。歩くときもただ引っ張れば良いのではなく、最初は飼い主さんが愛犬の歩調にあわせてあげることからスタートさせるのがベストです。

その他「コマンドトレーニング(お座りや待てといった指示に従わせること)」や「お留守番に慣れてもらう」といったことも大切なのですが、社会化期が過ぎてからでも覚えさせることができますので、子イヌのうちにやるべきことから始めていきましょう。

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バーニーズ・マウンテン・ドッグのかかりやすい病気ってなに?

バーニーズ・マウンテン・ドッグに限らず、ほとんどの犬種でイヌは人間よりも体毛が多く、その分皮膚がデリケートなため「皮膚病(ひふびょう)」になりやすいといわれています。

また顔の作りから眼球が人間よりも前に出ていることも多いため、目を怪我してしまう、もしくは遺伝的な理由が原因で「眼疾患(がんしっかん)」にもなりすいです。

上記の特徴を踏まえた上で、ここではバーニーズ・マウンテン・ドッグが注意したい病気について詳しく見ていきましょう。

まずバーニーズ・マウンテン・ドッグは皮膚病である「外耳炎(がいじえん)」、眼疾患である「白内障(はくないしょう)」、そして「股関節形成不全(こかんせつけいせいふぜん)」にかかりやすいといわれています。

①外耳炎

耳の耳介や外耳道が赤くなり、黒い耳垢の発生あるいは悪臭などの症状が見られる病気です。見た目でもはっきりと異常が分かる病気ですが、耳に触れられるのを嫌がる、頭を振ってかゆみをとろうとする、耳をこすりつけるといった行動が見られるようでしたら外耳炎にかかっている可能性があります。

この病気はアトピー性皮膚炎と併発しやすいため、もし飼っているワンちゃんが外耳炎になってしまったら、アトピー性皮膚炎にもなっていないか皮膚の状態をよくチェックしてあげてください。

②白内障

眼の中には水晶体(すいしょうたい)というものがありますが、この水晶体が白くにごってしまい目が見えにくくなってしまう病気です。白内障になってしまう原因は多く、遺伝性や老化によるもの、糖尿病や怪我による目の損傷によっても引き起こされます。

初期の場合、目薬を使って病気の進行を遅らせることもできますが、場合によっては手術でにごった水晶体を取りのぞくという方法もあります。

白内障になると水晶体が白く見えるので目視でも確認できますが、散歩中や家にいるときなど、前と比べて壁や物にぶつかることが増えた。という状態が見られたら、一度動物病院で検査を、そして白内障にかかっていたら獣医さんとの治療方針相談をオススメします。

③股関節形成不全

生まれつき股関節がゆるみやすくなってしまう病気で、生後4ヶ月~12ヶ月の子犬期に発症しやすいといわれていますが、なかには2~3歳頃になってから発症するケースもあります。また、セント・バーナードやレトリバー種に見られることが多いです。

症状は、お尻や腰を振るようにして歩く、後ろ足を一緒にして引きずるようにして走る、高い所や階段の昇り降りなどといった運動を嫌がるなどといったものが見られます。

初期の場合、痛み止めの薬を服薬(ふくやく)、レーザー治療にて痛みを緩和する方法や運動制限などで治療を進めますが、症状が良くならない場合は外科的治療による手術を行ないます。手術方法は数種類あるため、手術後の生活やケア方法なども考えながら獣医さんと相談して決めるのが良いでしょう。

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参考文献

よくわかる犬種図鑑ベスト185 動物ジャーナリスト藤原直太朗

まるごとわかる犬種大図鑑 監修 若山動物院院長 若山正之

AMERICAN KENNEL CLUB
https://www.akc.org/dog-breeds/bernese-mountain-dog/

THE KENNEL CLUB
https://www.thekennelclub.org.uk/search/breeds-a-to-z/breeds/working/bernese-mountain-dog/

JAPAN KENNEL CLUB
https://www.jkc.or.jp/archives/world_dogs/2718

犬との暮らし大百科
https://www.anicom-sompo.co.jp/inu/

みんなの犬図鑑
https://www.min-inuzukan.com/

Pet Smile news forワンちゃん
https://psnews.jp/dog/

子犬のへや
https://www.koinuno-heya.com/

わんちゃんホンポ
https://wanchan.jp/

アイキャッチ画像
https://unsplash.com/ja/写真/sMFlMz2i2kI