シロイルカ

出典:https://pixabay.com/images/id-4830574/

真っ白い体、そしてずんぐりむっくり体型がキュートなシロイルカです!
日本でシロイルカが見られるところは限られているのですが、かわいい仕草に
思わず写真を撮りたくなりますよね!でもその生態について詳しいことは知らないなぁ・・・なんて方もいるはず。
一度シロイルカを見たことがある人も、まだの人も一緒にひみつを見てみませんか?

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~基本情報~

クジラ目-ハクジラ亜目-イッカク科-シロイルカ属

主に北極圏の海やベーリング海北部、オホーツク海などに生息しています。

体長:オス3.5~5.5m メス:3~4.1m  

体重:オス1,100~1,600kg 
   メス700~1,200kg

別名ベルーガともよばれています。名前のとおり、シロイルカは他のイルカとは違って体全体が真っ白なのが特徴的で、単純に色が抜けて落ちてしまったイルカという訳でははなく、ひとつの品種として独立している動物です。

珍しいことに、シロイルカには背びれがありません。生息場所である北極圏の海には流氷たくさんが浮いているので、泳ぐ時に背びれがあると流氷にぶつかり邪魔になってしまうからといわれています。

そして他のイルカとは異なり、首が左右に回せるのも特徴的です。これは首の骨同士がくっついていないからだとされています。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Delphinapterus_leucas_in_shallows.jpg

またシロイルカには頭部に「メロン」とよばれる脂肪がつまった部分があります。

メロンはシロイルカだけでなく他のイルカにもあるのですが、とりわけシロイルカのメロンは大きくてやわらかくて弾力性があります。

イルカは仲間とコミュニケーションを取るときに「エコロケーション」とよばれる方法をメロンを使っておこなうのですが、シロイルカのメロンはとても発達しているため、他のイルカより超音波を細かく調整することができるといわれています。

それ以外にもシロイルカの皮下脂肪(ひかしぼう)は分厚く、ハンドウイルカは皮下脂肪が20~30%しかないのに対してシロイルカは40~50%もあります。

これは寒い海でも耐えられるようにするためといわれています。ちなみにエサがとれない時は、この皮下脂肪が栄養代わりになることもあるようです。

シロイルカは社会的な動物なので、通常は小さな群れ(むれ)の集団を作って暮らしていますが、繁殖シーズンの4月~8月ごろになると、100頭以上の群れを作って行動することがあります。

妊娠期間(にんしんきかん)はおよそ14~16ヶ月、人間の妊娠期間が約10ヶ月なのに対してそれよりも少し長い計算になります。

春から始まった繁殖期は次の年の夏ごろ河口(かこう)付近で出産をむかえます。そしてシロイルカの寿命は約35~50年ほどです。

出典:https://unsplash.com/photos/djtZXyJkTU

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シロイルカのQ&A

シロイルカの名前の由来は?

体が白いイルカだからシロイルカという、とても分かりやすい意味が由来です。ちなみにシロイルカは日本語名で、別名の「beluga(ベルーガ)」はロシア語での名前になります。ロシア語で「白い」は「ベールイ」という意味なのでそこから名づけられました。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Delphinapterus_leucas_head_3.jpg


シロイルカはどうしてそこに住んでいるの?

シロイルカの生息地である北極圏の海にはたくさんの流氷が浮いている場所です。流氷はときにシロイルカの身を隠してくれるので、外敵に見つかりにくいというメリットがあるのです。

つまり、シロイルカが北極圏の海に住んでいるのは敵から身を守るためだったのですね。

ちなみに、体が白いから北極圏の海に移動して住んでいるのか?北極圏の海に住んでいるから体が白くなったのか?その答えとしては後者が有力とされています。

その昔、北極圏の海には様々な動物が暮らしていましたが、敵に淘汰(とうた)され今では絶滅してしまった種類もいます。

そんな状況下で生き残るために、シロイルカの体は環境適応して白くなったのでは?と考えられています。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Belugas_(124233821).jpeg


シロイルカは何を食べているの?

ハンドウイルカと同じく魚などの魚介類(ぎょかいるい)やカニなどの甲殻類(こうかくるい)を食べます。

シロイルカの赤ちゃんはどうして白くないの?

実はイルカの赤ちゃんは産まれた時から白い体をしているのではなく、最初は灰色をしています。

これには理由があり、基本情報でも紹介しましたがシロイルカは河口付近、もしくは浅い場所で出産をします。流氷がほとんどない場所だと真っ白い体のシロイルカはとても目立ってしまいます。

大人のイルカならまだしも、生まれたばかりの赤ちゃんイルカがホッキョクグマに見つかったら真っ先に狙われてしまう危険があるのですが、灰色の体をしていれば周りの砂利と上手く溶け込むことができます。

シロイルカの赤ちゃんが灰色なのは、生き残るための知恵だったのですね。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Aurora_and_baby_2_-_vancouver_aquarium.jpg


シロイルカの脱皮は命がけって本当?

先ほども紹介しましたが、シロイルカの赤ちゃんは最初灰色の体をしています。そして大きくなるとともに長い年月をかけて、少しずつ脱皮をしながら真っ白い体へ変化していきます。

大人になっても脱皮する行動は続き、年に一度脱皮を繰り返しています。ではどうして、シロイルカの脱皮は命がけといわれているのでしょうか?

それは脱皮方法が関わっています。シロイルカは流氷の多い海で暮らしていため、泳いでいる途中流氷にぶつかってしまうことがあるのです。

すると皮膚がだんだんボロボロになってしまうので、この傷ついた皮膚を入れかえるためシロイルカは脱皮を行うのですが、皮が一気にむけるのではなく体を海底の砂利にこすりつけて少しずつ古い皮膚を落としていきます。

脱皮を行う場所は比較的海の浅いところですが、体をこすりつける行動に夢中になりすぎると波が完全に引いてしまい、陸に置き去りにされて海に帰れなくなってしまいます。

海に帰れなくなる。ということはつまり死を意味するので、命がけといわれる理由はここにあるのです。

出典:https://pixabay.com/images/id-170101/



シロイルカのバブルリングってなに?

皆さんは水族館で、シロイルカが口からリング状の何かを出している姿を見たことがありますか?

これをバブルリングとよんでいるのですが、シロイルカだけでなく、他のイルカも同じようにバブルリングを作れる種類がいます。

そもそもバブルリングとは口から出された空気が泡となって、ドーナツのような形になりながら回転して浮上していく現象のことなのですが、実は私たち人間でも作ることは可能です。

ただシロイルカの場合どのようにして作っているのか、そしてどのような目的なのかはっきりと分からないところがあります。

単純にリングを作って仲間と楽しく遊んでいるのか、はたまた魚などを捕まえるための漁のひとつとして活用されているのか・・・

ですが水族館ではバブルリングを見ると、ハッピーな気持ちになれると有名なので、お出かけする機会があったらぜひ観察してみてくださいね。

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Delphinapterus_leucas_Bubble_Ring.JPG

シロイルカがロシアのスパイだったって本当?

一体どういうことなのかというと、事の発端はノルウェー北極海沖である漁師たちがハーネスをつけたシロイルカを見つけました。

不思議に思った漁師たちが近づいてみると、シロイルカは人間を怖がることなく船の側にすり寄りってきたのですが、よく見るとこのハーネスには小型カメラもついていて、調べてみるとロシア製ということが判明したのです。

状況はよく分からないものの、シロイルカの体に巻かれていたハーネスがとにかく窮屈そうでかわいそうに思った漁師たちは、いったん外してあげることにしました。

この出来事について、海洋生物学者がこのハーネスについて詳しく調べてみると「ハーネスにも種類があり、このシロイルカに付けられていたものは海洋研究のタイプとは異なる。」という事実が分かりました。

ちなみにロシアは、この北極海沖に軍の基地を持っていることで有名です。ですが証拠が不十分のため、本当にロシアのスパイとしてシロイルカが使われたのかはよく分かっていません。

しかし、例えばアメリカ軍ではイルカをスパイ動物として送り込んでいた実績があり、ロシア軍も動物をスパイ要員として動物を利用する計画は存在していたようです。

つまりシロイルカをスパイとして送り込んでいる可能性も否定できないのです。 ロシア側からの回答は「スパイではなく戦闘要員としてイルカを訓練していることは認める。」ということですが、ロシア軍がシロイルカを保有していることは間違いないものの、実際どのように活用されているのかは秘密のようです。

出典:https://unsplash.com/photos/kvTQEU3OuzA


シロイルカは海のカナリヤとよばれているって本当?

結論からいうと、本当です。仲間と連絡を取りあう際、甲高い声で鳴いたり、たくさんの鳴き声を使い分けるので「まるで鳥のカナリヤのようだ」といわれるようになり、かわいい愛称がつきました。

出典:https://unsplash.com/photos/KZ_LOMhfFSk

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参考文献

大日本百科全書(ニッポニカ)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典

カナダシアター
https://www.canada.jp/stories/post-4554/

くじらの博物館デジタルミュージアム
https://kujira-digital-museum.com/ja/top

しまね海洋館アクアス
https://aquas.or.jp/story/story-4271/
https://aquas.or.jp/blog/siroiruka/1334/

HIROBA
http://hiroba-magazine.com/2020/07/01/ikimono-3/

動物おもしろ雑学集
https://zooing.honpo21.net/archives/256

名古屋水族館の飼育員が教える名港ココだけの話
https://plus.chunichi.co.jp/blog/nagoya-aqua/article/228/346/

ぱっぱか
https://www.pappaka.com/post-2316#i

NATIONAL GEOGRAPHIC
https://natgeo.nikkeibp.co.jp/nng/article/20141218/428848/

BBC NEWS JAPAN
https://www.bbc.com/japanese/48103489

アイキャッチ画像
https://pixabay.com/images/id-1057362/