クマ

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クマといえばキャラクターのモチーフによく使われている動物ですね。私たち人間の生活圏の身近に生息している動物でもあります。
そんなクマですが人を襲う凶暴(きょうぼう)な一面も存在しているのです。その他にもクマには隠された秘密があるのでしょうか。
クマについて詳しく探って行きましょう。

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~基本情報~

肉食目-クマ科

ツキノワグマ 体長:110~150cm 体重:40~150㎏
ヒグマ    体長:150~240cm 体重:110~380㎏

クマは世界各国に生息しています。日本に生息しているクマは、ヒグマとツキノワグマの2種類です。日本の本州に生息しているのが二ホンツキノワグマで、北海道に生息しているのがエゾヒグマです。

クマは単独行動をして生活をしており、群れているときは4つの可能性があります。
1)母親クマと子供
2)親離れしたばかりの兄弟
3)繁殖期(はんしょくき)を迎えたオスとメスのペア
4)食糧(しょくりょう)が豊富なスポット

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人間の住んでいる地域の近くに生息しているのは、若いオスのクマか子供がいる母親クマです。山奥のエサが豊富な場所を占有(せんゆう)しているのが、力が強いオスなので弱いクマは人がいる地域しか住む場所がありません。

母親クマの場合は、わざと人がいる地域に生息している可能性もあります。それは、繁殖期になるとオスがメスを求めて探し回ります。

母親クマは子供が独り立ちするまで発情をしません。そのため、オスのクマは子供を殺して母親クマと交尾をしようとします。そのような状態にならないように、母親クマは人間の存在を利用してオスのクマが近づいて来ないように対策をしているのです。子どもを守るために考え抜いた賢い方法ですね。

母親クマはとても子供に愛情を持って子育てをします。クマは繁殖期である夏場に交尾をして、母親クマは独りで冬眠中に出産をして育てます。生まれた赤ちゃんの大きさは300~500g程度で1~3頭を出産。

冬眠中は食べるものが無い状態ですが、赤ちゃんには母乳を与えて続けます。春になるころには、小さく生まれた赤ちゃんが4~5㎏まで成長します。反対に母親クマは痩せた状態で外に出てエサを探し求めるのです。

子供が独り立ちする1年半~2年半まで母親が独りで育児をします。この期間に母親クマが子供にしてあげる役割は2つあります。

1)生きるために必要な知識を伝える役割
エサの確保の仕方からオスのクマに近づかないこと。そして、人間には気をつけることなど生きていくための知識を伝えます。子供がメスであれば、孫にも伝えられていくことになるので重要な役割です。

母親クマが人間に対して危機感をもっていない場合は、子供のクマも危機感を持たない子として育ってしまいます。それは、クマと人間のお互いにとって危険なことです。そうならないためにも、ある程度の危機感をクマに認識させるために人間が行動する必要がありますね。

2)オスのクマから守る役割
繁殖期を迎えたオスのクマは交尾をするために、子供のクマを殺そうとしてきます。そのような状況になると、母親クマは子どもを木の上に逃がして自らオスに立ち向かい戦うのです。子供を守るためには、相手が強くても体を張って挑む強さを兼ね備えています。

残念ながら全ての子供を守り切れるわけではありません。オスのクマは体格が大きいので敵わず殺されてしまうこともあります。野生の世界の厳しさを感じますね。

無事に子供たちを独り立ちさせると、母親クマは次の発情期を迎えることができるのです。オスのクマは木に背中をこすり付けてマーキングをして、木の本数が多いほど強さをアピールになります。メスのクマはそのニオイを嗅いで強いオスを求めに行きます。クマは生涯に約5~6回の繁殖が可能です。

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クマのQ&A

クマの噛む力はどのくらい強いの?

クマの噛む力は動物の中でもトップ10に入るほどの力を持っています。具体的な数字で表すと、人間の噛む力は約110万Pa(パスカル)です。それに対して、一番強いホッキョクグマの噛む力は約827万Paです。人間の7.5倍も噛む力が強いことが分かりますね。そんな力で噛まれてしまったら大けがしてしまいます。

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クマは色の識別はできるの?

クマの目は近眼(きんがん)で視力はあまり良くありませんが、色を識別できる力を持っています。この色を識別できるというのは、人間と同じようにカラフルな色合いを見ることができるということです。

動物の多くは赤色が見えないなど目で認識できない色を持っています。色を認識できるクマの方が珍しい存在です。クマは色を識別できることで、木の実が熟しているか判断することに役立っています。

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クマの嗅覚はどのくらい優れているの?

クマは視力が良くない代わりに嗅覚(きゅうかく)と聴覚(ちょうかく)が優れています。どのくらい嗅覚が優れているのか比較してご説明します。

人間よりも嗅覚が優れている代表的な動物は犬ですね。その犬の中でもブラッドハウンドという種類が、人間の300倍の嗅覚を持っています。その数字だけでも凄いですが、クマはブラッドハウンドの7倍の嗅覚を持っているのです。ということは、クマは人間の2100倍の嗅覚ということになりますね。

この優れた嗅覚は、エサを探すのに役立っています。約30km離れたところにある動物の死体を嗅ぎ分けることもできます。

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クマは何を食べて生きているの?

クマの食事は季節によって変わります。

【春3月~5月ごろ】
冬眠から目覚めたばかりなので柔らかい草を好みます。柔らかい草とは、フキ・ザゼンソウ・セリなどの植物です。この季節は、人間も山菜採りに出かけたくなる季節ですよね。その山菜採りをするときに注意をしなくてはいけません。

山菜がよく採れる場所には、クマの餌場(えさば)である可能性があります。冬眠明けで飢えているクマだからこそ、人間にエサを採られないように襲ってきます。

4月はクマとの事故が多発する季節で、死亡事故の6割は山菜採りが関係しているのです。クマと遭遇(そうぐう)しないように、対策をして山菜採りに行きましょう。

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【夏6月~8月ごろ】
クマの繁殖期でオスがメスを求めて行動範囲が広がります。春と同じくフキやセリを食べて過ごしますが、徐々に草が少なくなってきます。ハチやアリなどの昆虫も食べますが、お腹を満たすことはできません。

食べられるものが少なくなると、人間の農作物を食べに山から降りて来るのです。クマにとって食べられる物が少なくなる夏は厳しい季節になります。

【秋9月~11月ごろ】
冬眠に必要な栄養と脂肪を蓄えるために、たくさんの食べ物を求めて行動します。1日に8時間食べ続けることもあり、体重の3割は脂肪になります。

秋に食べる食材は、山ではドングリ・クルミ・サルナシ・山ブドウ・ナナカマド・コケモモ・ウド・タラ・コナラ・クリを食べます。生息地の近くにサケやマスなどが生息していると魚を捕食することもあります。

この季節は春と同様に、クマに合わないように気を付けなくてはいけません。秋はキノコ狩りに来た人とクマが遭遇する事故が増加します。春よりも死亡者数は少ないですが、怪我をする人は多いので気をつけましょう。

【冬12月~2月ごろ】
早くて11月下旬ごろから妊娠している母親クマ、妊娠していないメスのクマ、オスのクマの順番で冬眠に入ります。春には反対にオスのクマから順番に目覚めて行動を始めます。冬眠期間は食事と排泄をせずに眠り続け、妊娠しているクマだけは出産のために起きるのです。

肉を食べていることの方が多いと思い込んでいましたが、基本は植物や虫を食べて生活していることが分かりましたね。

クマはどうして冬眠するの?

クマは寒さにも強そうな大型の哺乳類(ほにゅうるい)なのに、どうして冬眠をするのか疑問に感じたことはありませんか?クマが冬眠する理由は2つあります。

理由➀冬場は食べられるエサが無いから
春や秋のようにクマが食べる植物や虫は冬場には姿を現しません。そのため、クマは冬場に食べられるものが無いので、秋のエサが豊富な時期にたくさんの量を食べて体脂肪(たいしぼう)を蓄えます。そうすることで、冬眠している間に体脂肪を少しずつ消費して過ごすことができるのです。

理由②無駄なエネルギーを使わないようにしているから
エサがない冬に行動していると、無駄なエネルギーを消費してしまいますよね?そうならないために秋にエネルギーを蓄えて、冬は食事や排泄をせずに春まで寝続けて体力を使わないように過ごしています。ただ寝るのではなく、体の代謝(たいしゃ)を低下させて消費するカロリーを少なくしているのです。厳しい環境の中でも生きていけるように体が対応したのですね。

日本のように四季があると、季節によってエサが変わるので冬眠が必要になります。しかし、気候が変わらずエサを採り続けられる環境であれば冬眠する必要はありません。実際に、動物園で飼育されているクマはエサがもらえて温かい環境を用意してもらえるので冬眠をしません。

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クマはどうして人間を襲うの?

クマが人間を襲う理由は5つ考えられます。

理由➀人間のおいしさを知っているため
毎年のようにクマによる被害(ひがい)で亡くなる方がいます。クマはただ人を殺すだけでなく食べてしまうこともあるのです。そういう経験をするとクマは学習力が高い生き物なので、人間をエサだと認識してしまいます。

クマの食糧は植物が多いので、不作の年にはエサが足りなくなってしまいます。そこで人間を襲い簡単に捕獲(ほかく)できるエサだと覚えてしまうと、人間を続けて襲うようになります。

理由②人間にエサを採られないように排除するため
人間とクマが遭遇するのは、山菜採りやキノコ狩りをしている時期が多いです。クマも人間と同じように、山菜などの植物を求めているので遭遇してしまいます。春のクマは冬眠明けの極度の空腹状態であり、秋には冬眠に向けて栄養を蓄えなくてはいけません。そんな状態で人間に遭遇してしまうと、エサを採られると思い襲ってきます。

理由③人間に遭遇してしまい驚いたため
人間が山でクマに遭遇して驚くように、クマも人間の存在に驚いてしまいます。ビックリしてしまった勢いでクマは人間を攻撃してしまうのです。そういう事故が起きないように、音のなる物を携帯するように対策が必要です。

理由④子どもを守ろうとしたため
母親クマは子どもを守るためなら人間にも攻撃をしてきます。子グマが可愛くても近づいてはいけません。なぜなら、子グマの近くには必ず母親クマが潜んでいます。メスのクマであっても攻撃力は強く人間では敵いません。

理由⑤人間と遊ぼうとしたため
若いオスのクマだと好奇心旺盛(こうきしんおうせい)で、人間に対する危機感も低い傾向があります。人間に興味があり遊ぼうと近づいてきます。遊ぼうとしても、クマの力は人間よりも強いので大けがをしてしまいます。鳴り物だけでは対抗できませんので、鉈(なた)などの刃物を携帯しておくことも大切です。

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クマに遭遇したらどう対応すればいいの?

クマに遭遇しないための対策と知識が必要です。

クマがよく行く場所には行かないようにしましょう。例えば、朝と夕方には沢(さわ)でクマに遭遇する可能性が高く、その他にも竹藪(たけやぶ)のように視界が悪い場所で遭遇することもあります。気づいたときには目の前にクマがいたなんてことも起こります。

クマ対策のアイテムを持ちましょう。具体的には音の鳴る物やクマに対抗できる武器が必要になります。音の鳴り物はクマに人間の存在をアピールするために使います。クマは意外と臆病な性格をしているので、音に気づくと人間に合わないように避けてくれます。クマ鈴・ラジオ・ホイッスルを使うのも方法ですが、人間の話し声も効果があります。しかし、クマの中にはわざと近寄ってくる場合もあるので武器も携帯しましょう。

クマに対抗するための武器を2つご紹介します。

武器➀クマよけスプレー
クマに吹きかけることができれば効果がありますが、1本の値段が少し高価な商品なので持ち歩かない人もいます。安全のために1本持っていて損はない道具ですので携帯するようにしましょう。

武器②鉈(なた)などの凶器
クマの攻撃に対抗するためには、鉈のような武器を持っていると抵抗することができます。鉈であればクマに多少のダメージを与えることができます。

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対策をしていてもクマに遭遇してしまうことはあります。そんな状況になったときの対策としてはいけない行動をご説明します。

まずは、この3点だけは守ってください。

1)大きな声で騒がない・悲鳴を上げない
クマは大きな声を出されると反対に興奮してしまいます。

2)背中を向けて逃げない
クマは走るものに反応しますので、背中を向けて走りだすと追いかけてきます。走りだしたくなる気持ちも分かりますが、我慢して刺激しないようにゆっくり下がりましょう。

3)目を離さない
目を離してしまうとクマは弱者だと判断して攻撃をしてきます。目を離さずにゆっくり距離をとりましょう。

3点を守ってクマが去ってくれるのを待ちましょう。恐怖を感じると思いますが、生き延びる可能性がある対策です。山に行く機会がある人は覚えておいていただきたいです。

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クマの種類

【ツキノワグマ属】
・日本ツキノワグマ

・ヒマラヤツキノワグマ

・バロチスタンツキノワグマ

・タイワンツキノワグマ

・ウスリーツキノワグマ

・チベットツキノワグマ

・シセンツキノワグマ

【メガネグマ属】
・メガネグマ

【マレーグマ属】
・マレーグマ

・ボロネオマレーグマ

【ナマケグマ】
・ナマケグマ

・スリランカナマケグマ

【ヒグマ】
・エゾヒグマ

・ハイイログマ(アメリカグリズリー)

・ヨーロッパヒグマ(ユーラシアヒグマ)

・チベットヒグマ(ウマグマ)

・コディアックヒグマ

・ヒマラヤヒグマ

・アカグマ

・シリアヒグマ

・アラスカグリズリー

・カムチャッカヒグマ

・ダルヒグマ

・アラスカペニンシュラヒグマ

・ウスリーヒグマ

・シトカヒグマ

・スティキーングリズリー

・アムールヒグマ

・アルシカヒグマ(アペニンヒグマ)

・ホッキョクグマ

【クロクマ】
・アメリカクロクマ(ミネリタクロクマ)

・オリンプスクロクマ

・ニューメキシコクロクマ

・カリフォルニアクロクマ

・ハイダグワイクロクマ

・シナモンクログマ

・アオアメリカグマ

・メキシコクロクマ

・フロリダクロクマ

・ニューファンドランドクロクマ

・シロアメリカグマ

・ルイジアナクロクマ

・ウエストメキシコクロクマ

・キナイクロクマ

・アレキサンダークロクマ(ダルクロクマ)

・バンクーバークロクマ

参考文献

Bear クマの分類
https://sites.google.com/site/japanbearinfo/home/classification

Yahoo!知恵袋 クマの種類
https://detail.chiebukuro.yahoo.co.jp/qa/question_detail/q12154334677

ヒグマ研究室
https://naochiaki.biz/higuma/category/biology/lifestyle/

ACORN「冬ごもりする生きものたちの不思議」
http://acorn.okamura.co.jp/topics/column/2019/02/19/toumin/

ailovei「噛む力で見る最強の動物ランキング」
https://ailovei.com/?p=73293

熊の種類や生態「熊の視覚!色の識別はできる?」
https://xn--2vx.biz/archives/126

ailovei「ある意味怖い。知っておきたいクマの雑学」
https://ailovei.com/?p=72137

暮らしーの「正しい熊対策を徹底解説!遭遇した時の効果的な撃退・対処方法をご紹介」
https://kurashi-no.jp/I0024115

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