コウモリ
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コウモリ
コウモリといえばバットマンのマークのモデルになった動物ですね。黒い翼(つばさ)を大きく広げながら飛び回ります。休むときには逆さまになりぶら下がった状態で過ごすことができます。 コウモリは夜行性(やこうせい)で暗闇に溶け込んでしまうので、見かける機会は少ないかもしれません。しかし、意外と私たちの身近に生息しているのです。 コウモリはどんな生態をした生き物なのか探っていきましょう。
コウモリ 基本情報
哺乳網-コウモリ目(翼手目) 最大種:フィリピンオオコウモリ 翼幅:150~170㎝ 体長:30㎝ 体重:1.1~1.4kg
最小種:キティブタバナコウモリ 翼幅:15~17㎝ 体長:2.9~3.3㎝ 体重:不明 コウモリは約980種類も多く存在しています。世界中に幅広く生息しているのです。日本に生息しているコウモリは35種類ほどいます。思っているよりも多くのコウモリが日本にも生息しているのですね。 この35種類のコウモリの中で、最も私たちの身近にいるのは「アブラコウモリ」です。別名では「イエコウモリ」とも呼ばれています。別名がついた理由は、人間の家を住処(すみか)として使うコウモリでもあるからです。家のどんな場所を住処にしているのでしょうか? よくコウモリが隠れ住んでいる場所は、軒下(のきした)・屋根裏・雨戸や屋根の隙間・換気口(かんきこう)・瓦(かわら)の隙間があげられます。コウモリが隠れることのできる場所は意外に多いのですね。 コウモリが住処にする場所には共通する特徴が4つあります。 1)雨や風を防ぐことができる場所 2)暖かい場所 3)エサを確保しに行きやすい場所 4)1~2㎝ほどの隙間(すきま)がある場所
器用に小さな隙間からいろんな場所に入り込めてしまうのですね。アブラコウモリの場合は、人間の家を住処にするだけでなく繁殖(はんしょく)場所としても利用します。
コウモリの繁殖は少し特殊な方法で行われるのを知っていますか?その特殊な方法とは、着床遅延(ちゃくしょうちえん)といいます。着床遅延とは、交尾をして得た精子(せいし)を受精(じゅせい)せずに体の中で保存することができるのです。なぜ受精を遅らせるのかというと季節が関係しています。 コウモリの交尾は冬の間に行われますが、そのまますぐに妊娠してしまうと困ることがあります。それは、冬の時期はコウモリのエサが少ないので子育てが難しいのです。子育てにはオスは関与しませんので、メスだけで子育てをしつつエサを探しに行くのは大変なことですよね。そのため、メスはエサが豊富になる温かい時期にしか妊娠をしないのです。 コウモリは妊娠してから約70日後に出産をします。出産の体勢もコウモリは特徴的で、逆さまにぶら下がった状態で出産をします。体勢を想像すると、赤ちゃんを落としてしまうのではないかと心配になりますよね。お母さんコウモリは、赤ちゃんを落とさないように翼で包んで受け止めます。また、人間と同じようにお母さんと赤ちゃんがへその緒で繋がっているのです。 1回の出産で2~3匹の赤ちゃんが生まれます。生後2週間は母乳で育ち、1か月後にはお母さんにエサの取り方を教わってから独り立ちをします。生まれてから1か月ほどで独り立ちしていくのは早く感じますね。
コウモリ Q&A
コウモリの名前の由来は?
コウモリは平安時代頃にはすでに日本に生息していた動物です。その頃の呼び方が、時代とともに音変化を繰り返し「コウモリ」にたどりつきました。コウモリという名前の語源(ごげん)には2つ説があります。 1つ目は、平安時代に呼ばれていた「カハホリ」から「カハボリ」に変化して、コウモリになったという説。 2つ目は、生息地やエサが由来となっている説。
・川を守るものという意味で「川守(かわもり)」 ・蚊を食べるという意味で「蚊屠り(かほふり)」 ・蚊を好むという意味で「蚊を欲り(かをほり)」
これらの名前が音変化をしてコウモリになったとも考えられています。
コウモリはどうしてそこに住んでいるの?
コウモリは種類によって住処にしている場所に違いがあります。比較的に住処としてよく使われる場所は、洞窟(どうくつ)・洞穴(ほらあな)・トンネル・樹木・人間の家があげられます。 なぜそのような場所を好んで暮らしているのでしょうか?コウモリが好む条件は、雨や風を防ぐことができる場所やエサが集まりやすい場所です。そして、人間の家を好むのは暖かく暮らすことができるからです。やはり住処にするのであれば快適に過ごせる場所がいいですよね。
コウモリは何を食べているの?
コウモリはエサによって大きく3種類に分けることができます。 1)虫を食べるコウモリ 虫を食べると書きましたが、具体的には雑食に近いです。コウモリの種類や住んでいる環境によっても大きく変化します。昆虫・花の蜜・肉・魚など幅広く食べることができるのです。 身近なアブラコウモリの場合は、蚊・ユスリカ・蛾(が)・ヨコバイを食べます。1番に300~500匹ほどの虫を食べてくれるそうです。人間があまり好ましく思っていない虫を食べてくれているのですね。 2)果物を食べるコウモリ 他の呼び方では「フルーツコウモリ」とも呼ばれています。体が大きくて有名なオオコウモリも果物を主食としています。体の大きさから肉を食べているように想像してしまいますね。 国によってはフルーツコウモリを食べる地域もあるので、食用のコウモリだと考えられてもいます。 しかし、コウモリを食べることは実はとても危険なことなのです。コウモリには、人間にはとても有害のある菌や感染症(かんせんしょう)を持っている可能性がとても高いからです。そのため海外にいった際に、コウモリ料理を食べることはお勧めできません。
3)動物の血を飲むコウモリ 血を飲むコウモリと聞くと、「ヴァンパイア」をイメージする人もいるのではないでしょうか。血吸いコウモリは、980種類の中でたったの3種類ほどしか存在しません。どのように動物の血を飲むのかというと、鋭い切歯で皮膚を裂いて傷口から舌を入れて飲みます。この種類のコウモリは、エサである血を仲間に分け与えることもできるのです。
コウモリは暗闇でどのような方法でエサを探しているの?
コウモリは、喉(のど)から発する超音波(ちょうおんぱ)を利用してエサを探しています。具体的には、超音波を出して障害物に反射することで、障害物との距離・方向・速さ・大きさ・動きなどの様々の情報を得ることができるのです。 この超音波を利用して情報を得ることを「エコーロケーション」と呼びます。エコーロケーションによって、密集(みっしゅう)した洞窟の中で飛び回ってもコウモリがお互いにぶつかってしまうなんてことは起こりません。
コウモリは哺乳類の中で唯一飛ぶことのできる動物なのは本当?
哺乳類は何千種類と数が多い動物ですが、鳥のように自らの力で飛べる哺乳類はコウモリしかいません。飛ぶ動物といえば、モモンガやムササビもいますが何が違うのでしょうか? モモンガやムササビの飛び方は「滑空飛行(かっくうひこう)」といい、飛んだ位置から徐々に下へ落ちながら進んでいく飛び方です。コウモリのように風を使って自在に飛ぶことはできません。その点が、コウモリとモモンガらの飛び方の違いです。
コウモリの翼(つばさ)はどのような作りをしているの?
コウモリにとって翼は前足です。人間の指のように骨が5本に分かれています。その骨と骨の間には、水かきのような「飛膜(ひまく)」と呼ばれる伸縮性(しんしゅくせい)がある膜で繋がれています。空を飛ぶときには、飛膜がついた指で自在に操作(そうさ)することができるので複雑な飛び方もできます。
コウモリはどうして逆さまにぶら下がっているの?
コウモリが逆さまにぶら下がっているのは、2つの理由があります。 1)天敵から身を守るため 高い場所でぶら下がることで、天敵であるヘビやイタチなどから身を守ることができます。 2)飛びやすい体勢だから ぶら下がっていることで、足を離すだけですぐに飛び立つことができます。天敵が近寄ってきてもすぐに逃げることができますね。
コウモリは冬眠するの?
コウモリは11月~3月頃まで冬眠をするため動かなくなります。冬眠場所は、一般的に洞窟や人間の家など雨や風を遮ることができる場所を選ぶのです。しかし、コテングコウモリは珍しい場所で冬眠します。 その場所とは、雪の中に空洞(くうどう)を作って過ごすのです。雪は意外と断熱効果(だんねつこうか)があるので、外で過ごすよりも暖かく過ごせるのではと考えられています。
コテングコウモリは、呼吸や心拍数をわざと下げて仮死状態に近づけます。そうすることで、最低限のエネルギーだけで生き続けられるのです。
コウモリを直接触るのは危険なのはどうして?
コウモリはウイルスやダニなどの寄生虫(きせいちゅう)を持っているから危険なのです。実際に海外ではコウモリから、狂犬病(きょうけんびょう)やエボラ出血熱(しゅっけつねつ)を保有していた例があります。どのウイルスも人間にとっては、感染してしまうと大変危険な病気です。 ウイルスや寄生虫に感染しないように、コウモリを素手で触らないようにしましょう。死骸(しがい)を見つけた場合も、手で取るのではなく掴む物を使って処理をするようにしてください。 また、コウモリのフンを処理するときにも気を付けなくてはいけません。コウモリのフンにはカビ菌が生息していることがあり、吸い込んでしまうと大変です。掃除をする際には、マスク・厚手の手袋・ゴーグルなど万全の準備をして行いようにしましょう。
コウモリを追い払うにはどうしたらいいの?
コウモリが家に住みついてしまい困っている方もいると思います。コウモリは「鳥獣保護管理法(ちょうじゅうほごかんりほう)」により、捕獲と殺傷(さっしょう)は禁じられているのです。そのため、コウモリを追い出すことしかできません。 家の持ち主の方が自分で対策を行うのであれば、忌避剤(きひざい)やくん煙剤でコウモリを追い出してから侵入口を塞ぐ方法があります。しかし、少しの隙間でも残っているとコウモリは帰巣本能を持っているので戻ってきてしまいます。 確実にコウモリを追い出したいのであれば、業者に頼るのも方法です。コウモリの知識を持ったプロにお任せしたほうが、菌を吸い込むなどの危険性はありません。また、再びコウモリが戻ってこないように対策と清掃・消毒をしてもらえます。お金はかかってしまいますが、安全で再発の低い方法ですね。
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コウモリ 種類
- オオコウモリ科
- 【オオコウモリ属】
- クビワオオコウモリ
- オキナワオオコウモリ
- オガサワラオオコウモリ
- オヒキコウモリ科
- 【オヒキコウモリ属】
- オヒキコウモリ
- スミイロオヒキコウモリ
- カグラコウモリ科
- 【カグラコウモリ属】
- カグラコウモリ
- キクガシラコウモリ科
- 【キクガシラコウモリ属】
- キクガシラコウモリ
- コキクガシラコウモリ
- 二ホンキクガシラコウモリ
- オリイコキクガシラコウモリ
- オキナワコキグガシラコウモリ
- ミヤココキグガシラコウモリ
- ヤエヤマコキグガシラコウモリ
- イリオモテコキグガシラコウモリ
- ヒナコウモリ科
- 【ホオヒゲコウモリ属】
- クロアカコウモリ
- ツシマクロアカコウモリ
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- ウスリドーベントンコウモリ
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- ウスリホオヒゲコウモリ
- クロオホヒゲコウモリ
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コウモリ 参考文献
- ウィキペディア「コウモリ」
- 世界雑学ノート「フィリピンオオコウモリの大きさ(体長や体重)【世界最大級のサイズ】」
- 語源由来辞典「コウモリ」
- コウモリの不思議を追う!コウモリマニア「コウモリの繁殖と子育て」
- Pet Pedia「コウモリのことをもっとよく知ろう!コウモリの特徴や生態、飼い方」
- みんなのコウモリ駆除屋さん「コウモリってこんな動物です!不思議な生態、特徴を徹底解説」
- みんなのコウモリ駆除屋さん「コウモリの巣が屋根裏に!作られやすい場所とプロが教える対処法」
- 本多電子株式会社「生き物に学ぶ〈超音波を効果的に使う動物がいます。〉」
- みんなのコウモリ駆除屋さん「コウモリはどんな菌や感染症を持っていますか?」
- National Geographic「雪の中で冬眠するコウモリ発見 実は樹洞より暖かく」
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