
ヒバリ
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皆さんは「ヒバリ」という鳥を知っていますか?春の鳥として有名で、歌などにもその名前が登場しています。昔から親しまれている鳥なので知っている方も多いかもしれませんね。そんなヒバリのことを紹介していきます。
ヒバリ 基本情報

項目名 | 内容 |
---|---|
保全状況 | 近危険種 |
綱 | 鳥綱 |
分類地位 | 受理されている |
科 | ヒバリ科 |
生息地 | 開けた農地や草地 |
属 | ヒバリ属 |
ランク | 種 |
科学名 | Alauda arvensis |
門 | 脊索動物門 |
一般名 | Eurasian Skylark, ヒバリ |
界 | 動物界 |
目 | スズメ目 |

ヒバリの基本情報
鳥綱(ちょうこう)スズメ目ヒバリ科ヒバリ属
全長:約17cm
翼開長(よくかいちょう):約32cm
ヒバリはユーラシア大陸やアフリカ大陸、イギリスなどに住んでいて、日本でも、ほぼ全国に住んでいる鳥です。ほとんどが渡りをせずにずっと同じ場所に住んでいる留鳥(りゅうちょう)ですが、雪が積もるほどたくさん降る場所に住んでいるヒバリは、冬を越すために南へ渡ることもあります。日本だと北海道に住んでいるヒバリが渡り鳥で、冬が終わった春や夏に渡ってくるので「夏鳥」とされているそうです。
ヒバリは全身が茶色の羽でおおわれていて、くちばしは黄色をしていて先が黒くなっています。ヒバリはよく、草むらの中や藪(やぶ)の中にいるので隠れやすい色になっているのかもしれませんね。足はピンク色をしていて可愛いです。そして1番の特徴は頭です。頭の上の羽が長く立っているので、まるで冠を乗せたように見えますね。オスとメスは体が同じ色なのですが、オスは頭の冠がよく立っていて、メスはあまり立たせないのでここで区別が付きますね。
ヒバリ Q&A

ヒバリの名前の由来は?
ヒバリは空高く飛んでよくさえずるのですが、それが晴れた日であることから「日晴(ひはり)」「日晴れ(ひはれ)」から「ヒバリ」へと変化していったという説があります。
他にもそのさえずりが「ピーチク」や「ピーパル」と聞こえることから「ピパリ」と呼んでいたものが「ヒバリ」になったという説もあります。どちらにせよヒバリの生態や鳴き声から名前がつけられているんですね。
ヒバリは漢字で「雲雀」と書きます。これはヒバリが雲まで届きそうなところまで高く飛び、体の色がスズメに似ていることからつけられました。ピッタリな漢字ですね。
英語では「skylark(スカイラーク)」と言います。今まではヒバリがいつも空高く待っているかのような由来でしたが、ヒバリは普段、地上で歩いて過ごしています。繁殖期(はんしょくき)になると空高く舞いながらさえずるのです。普段は地上で目立たないのに、空に舞うと高らかに鳴いて楽しそうだということで「空を楽しむ」という意味で「スカイラーク」と名付けられたそうです。そう聞くと次にヒバリを見た時に、本当に楽しそうに飛んでいるように見えるかもしれませんね。
ちなみに、ヒバリは昔から親しまれてきた鳥なので、さまざまな別名があります。「告天子(こくてんし・こうてんし)」や「ラーク」、「叫天子(きょうてんし)」、「叫天児(きょうてんじ)」、「叫天雀(きょうてんじゃく)」、「姫雛鳥(ひめひなどり)」「噪天(そうてん)」など、地方によっていろいろな呼ばれ方をしています。
それだけヒバリは人間の近くに住んでたんですね。

ヒバリはどうしてそこに住んでいるの?
ヒバリは草原や河川敷、田んぼ、畑、海浜、砂漠、埋め立て地などの地面が多くて広い、乾燥した場所に小さな群れを作って暮らしています。最近では高い山や、山岳の地域などにも住んでいることがあります。都市化が進み、葉っぱの多い場所が少なくなっているからかもしれませんね。
ヒバリは先ほどもお話ししたように普段は地面に降りて過ごしています。小鳥では珍しく、片方ずつ足を出して人間のように歩きます。スズメの移動方法を思い出してみてください。ぴょんぴょんと両足をそろえてジャンプするように移動しますよね。ほとんどの小鳥はこの移動なのですが、ヒバリは地面を歩いて移動するんです。なので近い距離だと飛ばなくても移動することができ、地面で過ごすことが多いんですね。
ヒバリは「砂浴び」をするのですが、これも小鳥の中だと珍しいのです。ほとんどの小鳥は「水浴び」をします。この水浴びで体についている汚れを落としているのですが、ヒバリはそれを砂で行います。ヒバリは住んでいる場所に砂が多いので、水ではなく砂で汚れを落としているのかもしれませんね。

ヒバリは何を食べているの?
ヒバリは種や穀物(こくもつ)を主に食べますが、雑食なので他のものも食べます。普段は種や穀物(こくもつ)で栄養が取れていますが、繁殖期(はんしょくき)は違います。繁殖期(はんしょくき)や子育ての間は栄養をたくさんとらなければなりません。そこで昆虫やクモ、ムカデ、ミミズなどの虫を食べて栄養をとっているんです。時期で食べるものを変えてコントロールしているんですね。
地面にはいろんなものが落ちていたり、いろんな虫がいたりするので、歩きながら見つけて食べています。たまに、ヒバリの背の高さにある花や葉っぱなども食べています。
雑食なので木の上より地上の方がエサが多いかもしれませんね。

ヒバリはどうやって増えるの?
ヒバリは4〜7月が繁殖期(はんしょくき)で、相手を見つけるためにオスはメスにアピールします。先ほども少しお話ししましたが、高い声で泣いているのがこの繁殖期(はんしょくき)で、草や石、切り株の上に止まって鳴いたり、空中を垂直に上がって高い場所で鳴きながら羽ばたいたりします。このさえずりながら空に上がっていく行動は「揚げ雲雀」と呼ばれていてこの時期の風物詩(ふうぶつし)のような存在です。
無事に相手が見つかるとメスが葉っぱや植物の根っこなどを使って巣を作るのですが、これも地上に作るのです。地面に窪みをつくり、そこにはまるように作っていきます。地面に作ると他の鳥にはあまり見つからないかもしれませんが、その代わりにネコやイタチ、ヘビなどが天敵です。木の上でも地上でもやはり天敵はいるんですね。
巣に3〜5個の卵を産み、メスが約11〜12日間温めると卵からヒナが産まれてきます。メスはヒナにご飯を食べさせたり、ぎゅっと抱いて温めてあげたりします。想像するととても可愛い光景ですね。
卵を温めるのも育児もメスだけで行っているのですが、その間オスは何をしているのでしょうか。
オスはなわばりを守るためにパトロールしながらずっと鳴いているのです。お父さんがしっかり巣を守ってくれるからこそ、安心して育てることができるんですね。
ヒナは卵から生まれてから、たった9〜10日で巣立っていきます。巣立った直後はまだ飛ぶこともできませんが、地上で過ごす鳥なので歩きながら自分でご飯を取り、そうやって過ごすうちに飛べるようになっていくのかもしれませんね。

ヒバリはどうしてさえずるの?
先ほどもお話ししましたが、ヒバリがさえずるのは繁殖期(はんしょくき)で早いところだと1月からさえずりが聞こえるところもあるそうです。オスがなわばりを知らせたり、守るために鳴くのですがこのさえずりは「高鳴き」と呼ばれていて、高いところから鳴きます。飛び立つ時に「ピュルッ」と鳴き、高いところで飛びながら鳴いたり、ホバリングと言って高いところで止まったまま鳴きます。この高鳴きは「ピーチュルチュル」「ピーチュル」「フィチフィチ」「ピージョルピーチョフチョフチョフ」「ピージュルジュル」「チュルリピチュルリ」といろんな種類の声で複雑に鳴き、長い時には20分間もの間ずっと鳴いているのです。
時には100mの上空から高鳴きをすることもあるのですが、ヒバリが住んでいるのは地上です。なぜそんなにも高いところから高鳴きをするのでしょうか。
ヒバリが高鳴きをするのは他のオスになわばりを知らせたいからです。みんなにここがなわばりだということを教えたい、となるとよく聞こえるようにしなければなりません。下にいてはいろんな障害物があったり、姿が見えなかったりしますよね。なので、高いところから知らせることで鳴き声がよく響き、周りにいるヒバリに知らせることができるのです。
繁殖・子育てが終わると、もう守らなくてもよくなるので鳴かなくなります。次の繁殖期(はんしょくき)までゆっくり過ごそうかなという感じなのかもしれませんね。

ヒバリの民話があるって本当?
ヒバリは昔から人間に親しまれている鳥なので民話や、春の季語にもなっているのでさまざまな詩にも使われています。
万葉集で大伴家持(おおとものやかもち)が
「うらうらに 照れる春日に雲雀(ヒバリ)上がり 心悲しも独りし思えば」
と悲しい心情としてうたっています。
他にも
「永き日も 囀り(さえずり)足らぬ ひばりかな 松尾芭蕉(まつおばしょう)」
「熊谷も 夕日まばゆき 雲雀(ヒバリ)かな 与謝蕪村(よさぶそん)」
などがあり、たくさんの人にうたわれています。ヒバリの飛んでいる様子や鳴き声は季節を表してくれるものになっているんですね。
日本の民話ではさえずりを日本語に置き換えられているものがあるんです。
昔々、太陽がまだ地上にいる頃、ヒバリが太陽にお金を貸していました。その後、太陽は天の神に呼ばれて上って行ったのですが、まだヒバリにお金を返していませんでした。ヒバリは怒って高いところを飛びながら、「おてんとさんに金貸した、日一分、日一分、利取る、利取る、月二朱、月二朱」と騒いでいた、というお話しです。
「金を返せ、利子も払え」と言っているのですが、意識して聞いてみるともしかしたらこう聞こえてくるかもしれませんね。
住んでいるのは日本だけではないので、もちろん海外でもヒバリは親しまれていて、西洋ではその鳴き声を、清浄な愛を表して歌っているとして、朝を象徴する鳥なのだそうです。
イギリスには「子ヒツジと共に寝てヒバリと共に起きる」ということわざがあり、早寝早起きしようねという意味なのですが、日本でいうニワトリのような存在で、朝を象徴しているのがわかりますね。
イングランドの詩人、パーシー・ビッシュ・シェリーは「ひばりに寄せて」と題した詩を出していたり、イギリスの作曲家、レイフ・ヴォーン・ウィリアムズはひばりのさえずりをヴァイオリンで表現した「揚げひばり」という曲を出しています。
ちなみにこの「揚げひばり」というのは、垂直に高く空に上がっていく様子を言うのですが、曲の他にも日本や中国で競技の名前として使われているんです。
競技の「揚げひばり」は、ヒバリをかごから出して空を飛ばせて、かごに戻ってくるまでの時間を競う競技なんです。第二次世界大戦前まで、行われていたそうです。ただこれは人間の努力というより、ヒバリの気分次第な気がしますね。

ヒバリは絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)に指定されているの?
ヒバリは詩や民話になっているほど昔は身近な鳥で、ペットとして飼われることもあるほどでしたが1979年に飼うことは禁止され、今ではあまり声を聞かなくなりました。
その理由は住む場所が減ってしまったからです。都市化が進み、ヒバリが住む草原や田んぼ、畑などが少なくなっていたり、ヒバリが食べる麦ではなく野菜を育てる畑が多くなっていたりするからです。それだけではなく、農業をする人がいなくなっていることや害虫駆除(がいちゅうくじょ)の薬をまくようになったことも原因です。人手が足らなくなっても薬をまけば作業が少しは楽になります。人間にとって虫は害虫でも、ヒバリにとっては必要な栄養なのです。その虫がいなくなってしまうと栄養が取れなくなってしまい、数が減っているのです。
その結果、東京都、北多摩、南多摩で絶滅危惧種(ぜつめつきぐしゅ)に指定されました。他の地域でも指定されているので紹介していきます。
・福島県、山口県、東京都西多摩:純絶滅危惧種(じゅんぜつめつきぐしゅ)
・千葉県:一般保護生物(D)
・神奈川県:減少種
この問題は日本だけではなく海外でも起きていて、EU(欧州連合)では、ヒバリや、ヒバリと同じような場所に住む生き物たちを守るために、薬を使わない農業や、ヒバリたちが住みやすいような環境づくりをしているそうです。
昔のように、ヒバリの鳴き声を聞いたり飛んでいる姿が見られるようになってほしいですね。

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ヒバリ 種類

ヒバリ(Alauda arvensis)の種類には、いくつかの亜種が存在します。以下は主な亜種のリストです:
- A. a. arvensis - ヨーロッパ北部、西部、中部
- A. a. sierrae - ポルトガル、中央および南スペイン
- A. a. harterti - 北西アフリカ
- A. a. cantarella - スペイン北東部からトルコ、コーカサスにかけての南ヨーロッパ
- A. a. armenica - トルコ南東部からイランにかけて
- A. a. dulcivox - 南東ヨーロッパのロシアから西シベリア、北西中国、南西モンゴルにかけて
- A. a. kiborti - 南シベリア、北および東モンゴル、北東中国
- A. a. intermedia - 中央シベリアから北東中国、朝鮮にかけて
- A. a. pekinensis - 北東シベリア、カムチャツカ半島、千島列島
- A. a. lonnbergi - 北サハリン
- A. a. japonica - 南サハリン、南千島、日本、琉球諸島
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ヒバリ 参考文献
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その他
出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Alauda arvensis nest in İzmir, Turkey.jpg

出典:https://unsplash.com/ja/写真/y3jsWdA0pBQ

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