
ホタル
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暗い夜にチラチラと光りながら飛び交うホタルの姿はとても幻想的ですよね。ホタルの体がどうして光るのか、近くで見たことがある人は少ないのではないでしょうか。ホタルはどんなところで見られるのか、どんな仕組みで光っているのか、気になることがたくさんありますよね。そこで今回は、ホタルの生態について解説していきたいと思います。
ホタル 基本情報

~基本情報~
節足動物門 昆虫綱 コウチュウ目 カブトムシ亜目 コメツキムシ下目 ホタル科 体長7~10mm ホタルは、北極、南極や、砂漠などの乾燥地を除いた全世界に分布しています。 種類も2000種類以上と多く、日本にも北海道から沖縄まで全国的に分布しています。 幼虫時代に水の中で過ごすホタルだけでなく、湿地の陸地で生活するホタルもいます。 実は、水の中で過ごすホタルは世界でも10種類ほどで、水の中で過ごす種類は日本には3種類います。 日本に生息する水生ホタルは、ゲンジボタル、ヘイケボタル、クメジマホタルの3種類で、主に水田や水辺で生息しています。 卵のサイズはとても小さく、0.5mm程度しかありません。 ゲンジボタルの1匹のメスが産む卵は1回に800~1000粒程度で、10日程でふ化して幼虫になります。 幼虫は約10ヶ月を水中ですごし、翌年の春の雨上がりの日に陸に上がって土の中にもぐりサナギになります。 そして、2週間ほどで成虫になります。 寿命は平均で7~10日前後です。 卵はたくさん産みますが、成虫になれるのはその中でもほんのごくわずかです
ホタル Q&A

ホタルの名前の由来は?
ホタルの存在が残されている一番古い記録は日本書紀であり、平安時代にはすでに「螢」と呼ばれていたことが分かっています。 ホタルと呼ばれるようになったのにはさまざまな説がありますが、「ホ」は「火」で、タルは「垂」を表しており、火を垂れる虫という意味からきているという説があります。 また、「ホタルは尾端から火を垂れる」ということで、昔の人が火垂れ虫、ヒタレ、ホタレと呼んでいたことからホタルと呼ばれるようになったという説もあります。 また、日本にはゲンジボタルとヘイケボタルという種類がいますが、この2種類のホタルは、1906年に出版された「日本千虫図説第三巻」によると、源氏蛍(おおほたる)、平家蛍(ひめほたる)と記されているようです。 ゲンジボタルは源氏物語の光源氏からきているという説もあったり、「源氏」と「平家」から来ているなど色々な説が謳われています。 ゲンジボタルをウシボタル、オニボタルなどと呼んだり、ヘイケボタルをコメボタルなどと呼ぶなど、呼び方はさまざまです。 いずれにせよ、ホタルの名前の由来はよくわかっていないというのが実際のところです。

ホタルはどうしてそこに住んでいるの?
ホタルは、水田や用水路などの水があるところに棲んでいます。 水辺には、ホタルの幼虫となる貝類が生息しているからです。 ホタルの成虫は、街灯の届かない静かできれいな水辺を好みます。 これは、ホタルの成虫は口が退化していて、水分の摂取ぐらいしかできないからです。 ホタルは成虫になると水分しか採れないので、生きている間は幼虫のころに蓄えた栄養素のみで繁殖活動を行います。 また、ホタルがすむためには、産卵のための水苔や土草があることが大切です。 ホタルは、川辺や水辺に卵を生みつけられる草や木があり、自然の状態が保たれているところで産卵します。 ホタルは、暗闇を好み、車のライトや街灯などの人工灯が少ない暗い場所で見られるという特徴もあります。 このことから、ホタルが棲める環境にはさまざまな条件が必要だということが分かります。 ホタルはとてもデリケートな生き物なので、条件がひとつでも揃わなければ生息できないとも言われます。

ホタルは何を食べているの?
ホタルは、川辺に生息する貝類を食べて生きています。 ヘイケボタルは、モノアラガイなどを好んで食べ、ゲンジボタルはカワニナなどの貝類を食べます。 また、田んぼなどに棲むサカマキガイやタニシなども捕食する肉食性です。 成虫になると昆虫などは食べず、水だけを飲んで生きています。 しかも、川の水は飲まず、夜露を飲みます。 海外には、昆虫を捕食する成虫の種類もいるようです。
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ホタルはどうして光るの?
ホタルは、オスとメスがお互いに位置を知らせるために光っています。 夕方になると活動をはじめ、オスは飛び交いながらおしりを光らせて、メスは葉っぱの上に止まったまま光っています。 蛍が光るのは求愛行動で、オスは飛び回りながらメスを探しているのです。

ホタルが光る仕組みは?
ホタルのお尻には発光器があり、オスはお腹の節目のお尻から1節目と2節目が光ります。 メスは2節目のみ光ります。 ホタルが光るのは、ルシフェリンという発光物質と、ルシフェラーゼという発光酵素、それに体内酵素が混ざり、化学反応が起こって光る仕組みになっています。 これは、お祭りなどで人気の光るリングと同じ仕組みです。

ホタルが見られる季節はいつ?
日本で見られるホタルのほとんどがゲンジボタルです。 ゲンジボタルの成虫は初夏に見られることが多く、九州地方では5月上旬から、東北地方では7月ごろから羽化します。 また、ゲンジボタルの他に多いのがヘイケボタルで、ヘイケボタルはゲンジボタルが現れてから2週間ぐらい後に出現します。 出現時期にはバラつきがあり、時期がかぶってゲンジボタルとヘイケボタルが同じ時期に見られることもあります。

ホタルが見られる時間帯は?
ホタルは、日没から2時間後が活動時間のピークと言われています。 ホタルが活動する時期の日没から2時間後というと、だいたい19時半~21時ごろになるでしょう。 その次に活発になる時間帯は23時ごろで、3回目は2時ごろです。 1回目が一番活発に動き回るため、ホタルを観察したい場合は日没から2時間後を狙いましょう。

ホタルがよく飛ぶための条件は?
ホタルは、20度以上の生温かく、湿気が多い日に多く見られます。 また、曇っていて風がないという条件が揃っているとなお良いです。 雨上がりでムシムシしているときは、ホタルの観察に最適です。 雨が降っていたり、風が強いとき、気温が低いときには飛ばないのであまり観察できません。

ホタルは卵や幼虫も光る?
ホタルは、成虫だけでなく幼虫やサナギ、卵も光ります。 発光の目的は成虫とは違い、繁殖のためではありません。 しかし、明確な理由についてはよく分かっていません。 ホタルのサナギや幼虫は光ることによって外敵に美味しくないことをアピールしているという説もあります。

ホタルの光り方は種類によって違う?
ホタルにはさまざまな種類があり、光り方も種類によって異なります。 ゲンジボタルはサイズも大きく、2~4秒おきに強くゆっくり光るという特徴があります。 ヘイケボタルは、体長10mm程度で、約1秒おきに小さな光を発します。 ヒメボタルは、体長6~9mm程度え、ヘイケボタルよりも少し強く光ります。 チカチカと点滅するように光るのが特徴的です。 また、生息する地域によっても光り方に違いが見られます。 東日本のゲンジボタルは、4秒光って4秒休むと言われていて、西日本では2秒光って2秒休むと言われています。 さらに、東日本と西日本の中間の地域では、光る長さも3秒程度と中間の長さになっています。 2秒と4秒だとかなり時間の差があるので、光りの見え方も全く異なるんでしょうね。

ホタルが見られるのは初夏だけじゃない?
ホタルは梅雨のじめじめした時期に見られるイメージがありますが、日本を含め東アジアに生息するホタルは、秋や真冬に見られるものもいます。 朝鮮半島や中国などに分布するアキマドボタルは、秋に成虫が発生し、西表島で発見されたイリオモテボタルは真冬に光る姿が目撃されています。
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ホタルは死んでも光る?
ホタルが光る仕組みは、物質の酸化によるものです。 発光器の仕組みはまだ解明されていない部分も多いですが、ホタルは死んでも光を放ちます。 さらに、死んだホタルの発光器を乾燥して保存すると、その働きが失われずに続くのだというから驚きです。

光らないホタルもいる?
ホタルというと光るイメージがありますが、実は光らないホタルも多くいます。 日本には、約50種類のホタルがいますが、そのうち光るホタルは約14種類程度だと言われています。 光るホタルのほうが少ないんです。 成虫では光らないけど、幼虫のときには光るというホタルもいます。 成虫になりたての時だけ光るホタルや光りが弱いものなどさまざまです。

ホタルはどうして見られるところが少ないの?
近年、ホタルが見られるところはどんどん減ってきています。 それは、ホタルが生息できる条件というのが厳しいからです。 キレイで、ホタルのエサになるカワニナなどの貝類がいる暗い土のある川辺に生息するホタルですが、中性洗剤が普及し、河川が汚れたり、農薬や化学肥料の影響でホタルのエサになる貝類が減少してしまいました。 また、街灯が増えたことで暗闇が減ったので、ホタルが見られなくなってしまったのです。

ホタルを長生きさせることはできる?
ホタルは、成虫になってから死ぬまでの期間がとても短い生き物です。 それは、卵から成虫になるまでの期間が長いことや、成虫になったホタルはエサを食べられないことなどさまざまな理由があります。 しかし、ホタルの飲み水に砂糖を混ぜたものを与えると、長生きするという観察例があります。 環境の良い場所で砂糖水を与えたホタルは、2~3週間程度飼育できたという例もあります。 ホタルは栄養を摂取すれば、通常よりも長く生きられる可能性があるということです。

ホタルがいる田んぼのお米はおいしい?
田んぼにいるホタルの幼虫は、田んぼに棲むモノアラガイやサカマキガイ、タニシなどを食べています。 ホタルは水流が穏やかできれいな水がある静かな場所を好むため、田んぼにホタルがいるということは、水がキレイで環境が良いことの象徴になります。 そのため、ホタルのいる田んぼのお米は安心して食べることができるというアピールになるんです。

陸生のホタルにはどんな種類がいる?
ホタルは、水辺で見られるイメージが強いですが、実は水生ホタルよりも陸生ホタルのほうが種類が多いです。 陸生ホタルには、スジグロボタル、カタモンミナミボタル、オバボタル、オオオバボタル、クロマドボタル、ムネクリイロボタル、などの種類がいます。 陸生ホタルは雑木林や林縁の開けた草地、山地など色々なところに生息しています。 カワニナなどのエサを食べるものもいれば、クモやミミズを食べるものもいます。

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ホタル 種類

・ゲンジボタル ・ヘイケボタル ・ヒメボタル ・マドボタル ・オバボタル ・スジグロボタル ・ムネクリイロボタル ・クロマドボタル ・カタモンミナミボタル
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ホタル 参考文献

- ・生き物が教えてくれる季節のおとずれ 夏 2022年12月初版第1版発光 株式会社汐文社
- ・地味にスゴい!農業をささえる生きもの図鑑 2023年1月12日 第1版発行 株式会社小峰書店
- ・観察!いきものたちの夜の姿 夜に咲く、夜に眠る植物たち 2021年11月 初版第1版発行 株式会社汐文社
- ・Wikipedia
- ・ルアンマガジン
- ・延岡市公式サイト
- ・東京に育つホタル
- ・東京に育つホタル
- ・本田技研工業株式会社公式サイト
- ・るるぶkids
- ・ネイチャーエンジニアいきものブログ
ホタル 使用メディア紹介

出典:https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Luciola_cruciata.jpg

出典:https://unsplash.com/ja/写真/昼間の緑の木々の間の黒いアスファルト道路-TjMYP49juCg

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